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そろそろマイナスイオンブームも終わりか?

Posted on 5月 21st, 2005 in 倉庫 by apj

 昨日、共同研究先で作ってるウェブページの「水商売ウォッチング」のコメントに対する削除依頼があった。すでに掲示板では公開したのだが、要求を出してきたのはセルミ医療器という、マイナスイオン機器を作っている会社で、マイナスイオン関係の著書を多数出してテレビ出演もこなした堀口昇氏が代表取締役をやっていたことのある会社である。それで、いろいろ調べてみたら、2ちゃんねるにスレ【疑似科学】セ○ミを斬る【疑似医師】が立っていて、セルミ関係者とおぼしき書き込みがあるうちの一人の名前が、私のところに削除依頼を送ってきた人の名前に一致した。また、Yahoo!掲示板>化学>マイナスイオンってなんです?にもコメントが出ていた。
 ウチの掲示板では削除依頼を公開したのだが、そのURLが貼られた2ちゃんねるの投稿に対して、かなり迅速に削除依頼が出たこと。なのに、私のところには、掲示板の方の削除依頼が全く来ていない。ウチに削除依頼を出したと2ちゃんねるにカキコしてる人たちは、同じ名前を名乗った別人なのだろうか?一体中の人がどうなってるのか、謎である。

 それはともかく、Yahoo!掲示板の方に、amakubo2さんという方が、今朝の新聞の今夏のエアコン広告特集からマイナスイオンが消えたと書いておられた。大手家電メーカーがとうとう手を引いたということらしい。
 私は、去年エアコンを買ったのだが、半分くらいはまだマイナスイオンを謳っていた。もちろん、何とかイオンのないものを買ったのだけれど。
 掲示板の他の記事をあたっていたら、やはりamakubo2さんが、「927マイナスイオン商品開発の暗部が明らかに」の中で、楽天の日記を紹介しておられた。「マイナスイオンと技術者の良心」というものである。内容には非常に納得できるものがあるが、少し情報を追加しておく。
 私のところに、某大手家電メーカー系列のエアコン開発技術者から相談があったのは、確か2000年の年明け早々だったと記憶している。大々的なブームが始まる前のことだが、そのときの話だと、「現場の技術者が怪しいと思っていても、営業が、家電量販店などに行って『他のメーカーさんの製品にはマイナスイオン発生装置がついているのに、どうしておたくの製品にはついてないのいか』と言われて帰ってきたりすると、会社としては競争に勝つために機能を搭載せざろを得ない」ということだった。つまり、起きていたことは、書籍やテレビのバラエティ番組でマイナスイオンが取り上げられて、騙される消費者の数が増えてしまうと、メーカーに良心的な技術者が居ても、流れに抗しきれないということなのだ。まあ、「マイナスイオンは科学的根拠に乏しいのでウチでは搭載しません」と言い出すメーカーが1つでもあれば、まだ救いがあったのではないかと思うのだが、そこまで腹をくくれるメーカーが無かったのが残念である。
 ここ数回、教養の授業で、「マイナスイオンの疑い方」の話をして、学生さんの反応も結構いいので、今学期もやる予定である。