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共通教育総合

Posted on 6月 6th, 2007 in 倉庫 by apj

 「科学とニセ科学を考える」がかなり佳境に。今回は「食卓の安全学」の2,3,4章を読んで、コメントしながら進んでいるのだが、今日は定番ネタの坪野吉孝氏の「健康情報を評価するフローチャート」を紹介した。「食卓の安全学」の主張と似たような内容について、プロの研究者からのセカンドオピニオンという位置づけで紹介した。
 ところで、今、保健体育ってどんなことを教えているのだろう。運動して筋肉に負荷をかけたときに筋肉がどうなるか(太くなるとか、単位断面積あたりに出せる力が増えるとか)といった話はしているのだろうか。学生さんのコメントを見ていると、スポーツのためのトレーニングの話とインチキダイエットの区別がつきにくいみたい。


ここからは旧ブログのコメントです。


by しもふり at 2007-06-18 08:20:18
Re:共通教育総合

>スポーツのためのトレーニングの話とインチキダイエットの区別がつきにくい

というのは何か分かる気がしますが、具体的にどんな感じで「区別がつきにく」いのでしょうか?

食品系・栄養系のシゴトをしているとそういうことを質問されることも多いのですが、義務教育~高等学校レベルの家庭科とか保健体育とかがきちんと科学ベースになっていないという問題をヒシヒシと感じます。

調理も洗濯も化学だし、衛生やトレーニングは生物学な訳ですが、理科教育とこういったものがきちんとつながっていない(つなげる教育をしてない)ことが、健康や生活情報にニセ科学が入り込みやすい素地になっているのかな、と思っているもので。


by apj at 2007-06-23 00:00:23
Re:共通教育総合

しもふりさん、
 健康食品の宣伝で「体験談は(客観的な意味で)信憑性ゼロ」という話をしたら、「ビリーズブートキャンプもウソですか?」という質問が出てきたもので……。
 きちんと筋肉を動かして行う運動の結果がどうなるかは、保健体育(か、もうちょっと進むと運動生理学あたりかな)でやっているわけで……。過剰な効果を主張していなければ、運動した分だけの結果は期待できるという判断でいいと思うんだけど。


by tori at 2007-06-22 01:41:22
Re:共通教育総合

>しもふりさん
ちゃんと教えられていないだけでは?
教科書を読めば、多少古くさいなとは感じますが十分に科学的な説明が載っているはずです。
保健体育でいえば
公害問題
労働関係の法規や衛生
公衆衛生
運動生理学の初歩
性教育
などの幅広い項目がとりあげられています。
失礼を承知でいわせてもらうと問題はこれだけの内容を体育の先生が教えられるのか?というところにあるような気がします。
実際わたしが習った体育の先生は「訳わからん。」とおっしゃっていましたし。


by しもふり at 2007-06-04 04:35:04
Re:共通教育総合

なるほど、そういう文脈でしたか>管理人様

私は学部時代栄養化学の講座にいましたが、太る痩せるというのは純粋にエネルギー保存則の世界と認識せよと教育されました。曰く「痩せるためには摂取熱量の純減か消費熱量の純増によってエネルギー収支をマイナスにする以外ありえない。これは高校レベルの理科の知識で容易に説明と理解が可能である。」というもので。

「食べて痩せる」情報と「運動して痩せる」情報の区別はこういった考え方をベースにすると比較的容易に理解できるのかな、と思います。そういう意味で、「・・・キャンプ」も、そんな短期間で効果が出るかどうかはともかく運動自体はまあある手でしょう、という判断になりますか。

>ton様

現場としても体育の先生が「保健」をきちんと教えるのはやはり難しいという実感があるのでしょうか。

保健体育や家庭科というものは、実習に偏りすぎ(理科などが座学に偏りすぎている反動かも?)だと私は認識しておりまして、もうすこし理科ベースのリクツというもの教えてやったほうがいいのではと思うのです。
リクツを知っていれば、もう少しボールを遠くに投げられるコツがつかみやすいかもしれないし、味噌汁の調味もスムーズにできるかもしれない。食品を購入する際にニセ情報に引っかからなくなるかもしれないし、関節を傷めずに運動できるかもしれない訳です。

本当はそういったことは高校レベルの理科の知識で十分理解できるはずなのですが・・・
「消費者のための理科」が大変必要とされているのが現状ということだと思います。


by apj at 2007-06-10 05:31:10
Re:共通教育総合

しもふりさん、
>「痩せるためには摂取熱量の純減か消費熱量の純増によってエネルギー収支をマイナスにする以外ありえない。これは高校レベルの理科の知識で容易に説明と理解が可能である。」

 私も、科学リテラシー関連の講義を始めて以来、学生からのダイエット法に関する質問には常にこのように答えています。

>「消費者のための理科」が大変必要とされているのが現状ということだと思います。

 学年が上がってくると、理科教育の方向は、研究者、技術者になるための理科、になってるんじゃないかと感じます。


by TAKESAN at 2007-06-25 12:17:25
Re:共通教育総合

今晩は。

某ブートキャンプの宣伝番組で、短期間でウソみたいに痩せたモニターが紹介されるのですが、画面に、ちいさ~い文字で、「適切な栄養管理」云々と、注意書きがあるのですよね。いや、寧ろそれが重要なんじゃ…と思ってしまいます。
そりゃあ、あれだけ動けば痩せるわな、とも思いますが(笑)


by apj at 2007-06-24 21:06:24
Re:共通教育総合

toriさん、
>問題はこれだけの内容を体育の先生が教えられるのか?

 その内容を教えるなら、保健室の先生の方がどう見ても適任な気が。


by しもふり at 2007-06-52 20:10:52
Re:共通教育総合

そういえば、労働関連法規と労働衛生なんて学習事項に入っているんですね。これは社会科と理科と保健体育の融合領域なので、複数のセンスを持っていないと教えるのは難しそうですね。

理科教育が研究者、技術者になるための理解教育になっていくというのは重要な指摘だと思いました。英語や社会科はあまりそういう感じは持たず、基礎的な素養の向上という色彩が強いようにも思いますが、現場の印象としてはどうなんでしょう?

本当は高校の「理科総合(私の高校時代は「理科I」)」なんかは「素養、消費者教育としての理科」という色彩も持ち合わせるべきものなのでしょうけれど。

中学時代の美術は基本的な水彩やデッサンの技法を指導せず、いきなり書かせるという授業形態で、素養としての「美術力」を底上げする方向を向いていないんじゃないかと思ったことがあります(おかげで私は今に至るまで絵心ゼロですし、観賞の仕方もよく知らない)。

それは美術という教科自体の特性なのか、教員のパーソナリティによるものかに大変興味がありますが、高校理科というものももしかしたら似たような問題を抱えているのかなあと思ってみたりしますが(マトが外れているかもしれません)。


by tori at 2007-06-03 05:26:03
Re:共通教育総合

>apjさん
>しもふりさん
できれば分野ごとに先生が変わるオムニバス形式がベストだと思うのですが、高校では難しいのかもしれません。