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プロにも変なのがいる

Posted on 9月 27th, 2007 in 倉庫 by apj

Yahooニュース経由、産経新聞の記事より。

光市懲戒請求訴訟 橋下弁護士「(弁論欠席)品位を失う行為」
9月27日14時53分配信 産経新聞

 山口県光市の母子殺害事件で、殺人などの罪に問われた男性被告(26)=事件当時(18)=の弁護団に対する懲戒請求をテレビ番組で呼びかけ、弁護士業務を妨害したとして、今枝仁弁護士ら弁護団のメンバー4人=いずれも広島弁護士会=が橋下徹弁護士=大阪弁護士会=に1人当たり300万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が27日午後、広島地裁(橋本良成裁判長)で開かれた。
 橋下弁護士側は答弁書で「懲戒請求を呼びかけたことに違法性はない」として請求の棄却を求めた。これにより、弁護士が懲戒請求をめぐり弁護士を訴えるという異例の訴訟は全面対決の構図で争われることになった。
 原告側は訴状で、「懲戒請求者は懲戒事由を裏付ける相当な根拠について調査、検討すべき義務を負う」と判示した最高裁判決に言及。この判決の趣旨は懲戒を促した者にも適用されるとして、「被告は十分な調査、検討を尽くさずに発言に及んだ」と指摘した。
 さらに、「発言では懲戒請求をした者が弁護士会から資料の提出などを求められることに触れなかった上、多数の請求がされれば弁護士会が処分せざるを得なくなると視聴者に誤解させた」と批判。その結果として4人とも300件を超える懲戒請求を受けたとして、「弁明などの対応を余儀なくされて業務に多大な支障が生じたほか、社会的名誉や信用が損なわれた」と主張している。
 これに対し橋下弁護士は、弁護団の一部のメンバーが最高裁の弁論を欠席したことや、1、2審での主張が上告審以降に変更されたことなどは「弁護士全体の信用を失い、品位を失うべき行為」であって、懲戒事由に相当すると主張。「弁護団は懲戒請求を避けるために、社会に対して説明する必要がある」とした。
 また、懲戒請求を扇動したことは認めながらも、自身の発言と多数の懲戒請求が行われたこととの因果関係を否定。さらに「弁護団の社会的評価は以前から低下していた」と損害の発生についても争った。
 双方とも訴状や答弁書などをインターネット上で公開している。

 何て言うか、橋下弁護士の主張の方がよっぽど弁護士の信頼を引き下げていて、懲戒に相当するんじゃないかと思われる件。
・素人に懲戒請求しろとマスコミ経由でプロが煽ってどうするのかと。
・刑事弁護では被告人の不利になる主張はやっちゃいけないのが原則。どんだけ社会的に非難囂々のことをしでかした被告人であっても、弁護人は最後まで被告人に有利になるように動くのが刑事訴訟のルールだし、被告人の主張がトンデモだからといって弁護士を責めるのは筋違い。
・弁護団の一部のメンバーが最高裁の弁論を欠席って、別に問題無いんじゃ?というか、弁護士の数が多い場合に、全員揃わないと懲戒じゃあ、公判の日程が決められず、裁判が遅れまくる結果になって逆にマイナスでは。
・主張変更がなぜいけないのか。被告人の主張が変わったらそれをフォローするのが弁護人の仕事。そういう変更がまずいかどうかを判断するのは裁判官の仕事。裁判官がとりあえず認めていることを法廷でやったら懲戒じゃあ、訴訟制度自体が成り立たないのでは。
・社会に対して説明って……弁護士の守秘義務はどうするのかと。
 まあ、社会に対して説明が足りないことも事実だが、その説明とは、刑事訴訟の制度の意味と弁護士の役割(=感情的に憎まれる役回りになるのが必然であること)をわかってもらうための説明だろうね。個別の事件の話じゃなくて。

 答弁書出して来ないのがいけないかというと、それも違う気が。第一回の期日指定は裁判所の方が決めるから、他に用事があって出られない場合もあるわけで、それを想定して、あらかじめ答弁書を出しておけば弁論したことになるように定めてあるわけで。2回目以降は話し合って双方が出られる日に決めるんだけど。
 民事訴訟法ってけっこう便利にできてると思うんだけどなぁ。