Feed

鹿児島に来てます

Posted on 3月 19th, 2007 in 倉庫 by apj

 やっと鹿児島到着。明日から物理学会。モバイルの準備はしてきたが、ホテル各部屋にLANコンセント完備で早くて快適である。発表用データは修士の院生と一緒にやった実験のを使うつもりでいたがが、あまりキレイじゃなかったので追試をやったのが……終わったのが一昨日だったりする。さあこれからスライドを作るぞっと……。

松岡農水相の件で

Posted on 3月 13th, 2007 in 倉庫 by apj

 松岡農水相関連で電話取材がありました。どこから来たかは……表に出るまで内緒です。
 (一般庶民にとっては)巨額の金(=光熱水費だっけ?)をつぎ込んだとされる水について、そのまま報道すると宣伝になりかねないということで注意書き付きにするそうな。まあ、出るまでどうなるかはわかりませんが。
 結論からいうと、その水飲んでたのが本当なら、松岡農水相、確実にカモられてますorz。金の使い道の説明に困ってバカ高い水を買ったことにしたのだとしたら、それはそれで別の地雷を踏んでる気がする……。しっかりしてくれ。

AMAZONマーケットプレイスで買い物

Posted on 3月 11th, 2007 in 倉庫 by apj

 マーケットプレイスで買った本が届いたので読んでいる。

 「外国語はなぜなかなか身につかないか 第二言語学習の謎を解く」エレン・ビアリストク&ケンジ・ハクタ、重野純訳(新曜社)。外国語の学習って何だろうと思ってこのジャンルの本を買ってみた。学習効率を上げるためのハウツー本ではないが、言葉の学習とはどういう営みかについて議論している。参考文献が充実していて、原論文までたどれるので、一応専門書なのだろう。初めてこの分野の本を読む私にとってはちょっと敷居が高い。
 まあ、今現在イタリア語で苦戦しているわけで、自分が一体何をしているのか位はわかるかと思ったが、「何をしているのか」の部分がまだ研究中のようで……。

 できれば、言語学者の書いたセム語の解説というか分析本にたどり着きたいんだけど、どうやって探せばいいのやら。

 もう一冊は小説。「流氷の光る日」黒樹五郎(徳間書店)1981年刊。たまたま高校の時に地元の図書館で借りて読んだ。当時は本代が自由にならず、大学に入ってから、もう一度読みたいと思ったが本屋に見当たらず、以後、 20年以上にわたって古本屋を探しまくっても遭遇せず、マーケットプレイスでも滅多に出ず、今回やっと入手。しかも当時の定価の倍近いプレミア価格で。大体、連載誌が「毎日ライフ」というどマイナーな雑誌で、一応徳間で出たが発行部数も少なかったらしい。いっぺん見失うとここまで遭遇しないとは思わなかった。他には「群青列島」「日蝕海峡」という著作もあり、私は両方とも持っている。一時期、医学モノ小説に凝っていたので……。なお、著者は医者で、このまま作家との二足のわらじかと思ったら、その後トンデモに走ったらしい。「古事記の真実―神代編の梵語解」が問題の本だが、と学会員としてはむしろコレを買わないといけないようで、マーケットプレイスでチェックしたら安かったので衝動買いした(定価8100円税込が2500円だったので)。
 「群青列島」は米軍がらみの細菌兵器ネタ、「日蝕海峡」は白い巨塔が舞台のミステリー、「流氷の光る日」はガンになって大ショックを受けた医者が旅をして自分を取り戻す話、いずれも小説としては決してトンデモではない。この3作と、古事記にサンスクリット文字をあてはめて解釈する、の間に一体何があったのだろうか。むしろそっちの方が謎である。いっそ、「ダイイングメッセージとして残された古事記の一部にサンスクリット文字をあてはめて解読しながら主人公が殺人事件の謎を解く」ミステリーでも書けば良かったのに……それでもやっぱりトンデモミステリーかなぁ……バランスが良ければそれなりにネタとして楽しめるものになりそうなんだけど。

 「古事記の真実 空の巻」が続編として出ているがやっぱりサンスクリットとドッキングしている(いくらトンデモを愛でたくても両方一度に買うのは懐具合に響くので、まともなサンスクリット文法と単語集を買う方を優先しよう……)。二宮陸雄で検索すると、「群青列島」がこの名前で再版されている他に、医学ラテン語の参考書やらロシア語の参考書やらが出ていて、その他小説・医学解説本も出ているけど、こちらはまともそう。ってことは、古事記だけがヘンなのか……。

定員超過の原因

Posted on 3月 9th, 2007 in 倉庫 by apj

定員超過の国立大、補助金削減も・文科省」の記事が多分間違っている件。

定員超過の国立大、補助金削減も・文科省
 国立大学が財政難から定員を上回る学生を入学させる傾向が強まっているため、文部科学省は2008年度から定員超過が激しい大学の補助金を減らす仕組みを国立大にも導入する。学生数を適正範囲にとどめ教育の質の低下を防ぐためで、収入増が目的の学生の取りすぎには厳しい姿勢で臨む。

 文科省によると、国立大の入学定員充足率(入学定員に対する入学者の比率)は1990年代半ばから上昇傾向を続けている。一方、ピーク時には180%を超え国立大をはるかに上回っていた私立大の充足率は年々低下。2006年度には国立大の108%に対し私立大は107%と、初の逆転現象が生じた。(07:01)

 定員超過の原因は、定員の充足率が悪いとペナルティがあることと、多様な入試&多数回のチャンスを受験生に与えろという文部科学省の方針が原因なわけだが。ウチの学部だと、推薦入試・前期日程・後期日程とある。まあ推薦で入るような人は全員入学手続きをしてくれると考えられるので、残りの定員について前期日程と後期日程で満たすように合格者を決めるわけだが、定員通りに決めた場合、他に逃げられると充足率が悪いと言ってペナルティがあるし、定員よりちょっと大目に決めて全員が入学手続きすると定員超過になる。定員を充足しなかった場合のペナルティを無くしてくれれば、定員通りに合格者を出すだけで良くなるので、定員超過はあり得ない。
 もともと無理な「票読み」を大学に強いているという背景があるのに、そのことは無視して「財政難から定員を上回る受験生を入学させている」というこの記事は、根本的に間違っている。定員超過をさせたくなければ、まずは、定員充足率が悪かった場合のペナルティを無くしてもらいたい。

電話が通じなくなっていた件

Posted on 3月 8th, 2007 in 倉庫 by apj

 私のオフィスの電話が、昨日の夜から通じなくなっていたらしい。
普段なら点灯している留守録設定の赤ランプが消えていて、ボタンを押しても反応無し、液晶画面も真っ暗という状態になっていた。昼頃気付いて、一旦プラグを引き抜いて10分ほど待ってもう一度入れたら普通に復旧した。
 というわけで、昨日の夜から今日の昼頃までに電話を下さった方、お手数ですが再度ご連絡ください。

処罰の基準

Posted on 3月 7th, 2007 in 倉庫 by apj

父親を生き返らせようと遺体を掘り起こした男」より。

[ 2007年03月07日 21時06分 ]

[カラチ 5日 ロイター] パキスタンの警察は、2年前に死亡した父親を生き返らせようと遺体を掘り起こしカージャックした救急車で家へ持ち帰った男を追っている。

アブダル・ラーマン容疑者の家族は、彼には精神障害があり、父親の死を受け入れることができていなかったと警察に語っているそうだ。

カラチのフェロザバド警察署の担当官グラム・ムルタザは、「彼は木曜の夜、救急車の運転手に銃口を向けて車を乗っ取ったあと遺体を掘り出し、家に持ち帰りました」と、ロイターに語った。

警察は救急車の管理団体とラーマン容疑者の兄弟から通報を受け、金曜日に強制捜査を行った。
「彼は頭蓋骨だけになった死体を12時間以上自分のベッドルームに隠していました。私たちが家に踏み込んだ際、彼は逃走しました。私たちは遺体を再び埋めました」

また警察によれば、ラーマンは墓地で眠っていたホームレスを誘拐して家に監禁していたとのことだ。

「彼は、ラーマンがおいおい泣きながら死体を生き返らせようと魔法の呪文を唱え、薔薇水を注いでいるのを見たと証言しています」と、ムルタザは語った。

ラーマンには、死体損壊罪で1年の懲役が求刑される見込みだ。

 えーと、求刑が死体損壊罪だけって、カージャックと銃の所持と誘拐監禁は完全スルーですか?どう見ても後の方が処罰が重そうなんだけど、一体どういう基準で処罰しているのだろう?パキスタンの刑法はどうなっているのだ?

ずいぶん昔から指摘済みな気が

Posted on 3月 6th, 2007 in 倉庫 by apj

「信じたがる人」に伝わる意見」より。

失うものがある人にとっては、筋の通らない言い訳をすることは、自分の通貨を 失ってしまうことを意味するから、論理で相手の説得をはね返す動機が発生する。

失う通貨の無い人にとっては、そもそも対抗論理を作り出すことが無意味なことだから、 「あなたは信じるに値しない人間だよ」という理由で十分だったりする。

属人的な考えをする人を説得するには、「人に対する信頼」自体を担保にすること。

 対策まで書いてあるあたりがなかなかよいのだけれど、信じたいものしか信じない人間の性質は紀元前から指摘されている。

Libenter homines id quod volunt credunt.
(人間は自分が信じたいと欲することを、喜んで信ずるものだ)カエサル、「ガリア戦記」

就職率による評価

Posted on 3月 5th, 2007 in 倉庫 by apj

 新しく配属になる来年度の卒研生が決まったので、午前中に打ち合わせ。実験のスケジュールなどを決めるために進路についてきいてみたら、一人は企業就職、一人は教員採用試験狙い、もう一人は進学はしないし就職活動もしないで実家に帰る、とのこと。
 まあ、どういう進路を選ぼうが学生の自由だが、就職しませんと自ら意志決定する学生が居ることで、就職率が下がったとか、大学評価に影響するといったことになるのは困る。学生が進路をどうするかは自己責任だし、学生が意志決定したことは、あくまでも学生が結果を引き受ける範囲だけで閉じていないとまずい。教員側にできるのは、就職活動の足を引っ張らないようにゼミや実験のスケジュールをするとか、情報を得る手助けをするとか、必要な推薦状などを発行するといったことだけである。大学評価に影響するからといって、就職や進学を強要したら人権問題発生である。つまり、教員側の手出しは不可能ということであり、大学に対する評価基準が、手出し不可能なことの結果責任を問うものになっている、あるいは結果をだすために人権侵害せよということを暗に含んでいるのであれば、それは評価基準の欠陥に他ならない。
 進路決定は年度が替わったら書類に書いて出すことになっているので、就職か進学かの2択じゃなく、「家事手伝い」みたいなのがちゃんと選べるようになっているかどうか、明日確認してみるか。入ってなかったら、就職委員会の委員に頼んで項目を入れるよう決めていただくしかなかなぁ。
 まあ、どうしても学生の就職率でもって大学の評価をするというのなら、その行き着く先は、大学側の対応策としては、入学時に「大学にとって不利益とならないために進学あるいは就職すること」なんてのを学生に対して確認する、といったことになるだろう。それはそれでかなり変だが、これを変だと思うのなら、就職率による大学評価をすることも同様に変なことなんだと、さっさと気付いてもらいたい。

 これを書いていてふと思ったのだが、キャンパスハラスメントの事例の中に「就職や進学を強要する」というのはどのくらいあるのだろう?もし、少なからぬ数存在するのだとしたら、大学の外部評価基準がハラスメントを誘発している可能性についても、真面目に検討した方が良いかもしれない。

と学会例会

Posted on 3月 4th, 2007 in 倉庫 by apj

 と学会例会に参加。発表ネタは3つ。
 東大名誉教授の飯田氏が出した文書が凄いという発表(新体系物理学=量子力学無しで物理学を構築できると主張する内容、飯田バイオンとか出てるやつ)の発表があった。それで、急遽お茶大冨永教授が物理学会誌の巻頭言に載せる予定のフレーズを紹介。冨永教授は飯田研出身で、時々飯田元教授から電話で新体系物理学について延々話を訊かされて、「先生のおっしゃることはわかりますが同意できません」ときっぱり返事をしている。紹介したのは

確信犯は論外として、うっかり本人が思い違いをしたり、理解不足だったりすると、知らない間に世間を騙してしまうというリスクはすべての研究者に潜在しています。

というあたり。師匠が新体系物理学の彼岸へ行ってしまい、弟子はこういうことを書いているということで、まあなかなか味わいぶかい。
 次は明示図書の道徳の本について。「学校「道徳シート」とエンカウンターで進める道徳 高学年」。はじめに、で

この本は、道徳の授業を少しでも楽しく充実したものにしたいと願っているあなたへのプレゼント。新たなヒントと、具体的な工夫を教えてくれる本です。

と書いてあり、実践例の一発目が「水からの伝言」である。トンデモは著者と出版社にくっついていることがあるので、別の本も調べたらしっかりネタがあった。「エンカウンターで道徳」諸富 祥彦・土田 雄一著、明治図書。126ページに「言葉の影響を実感させる道徳の時間」という項があって、

1 この実践のよさ
導入に理科の授業を生かしている
★子どもたちの生活と密接につながる学習活動である。
★言葉のもつ「こわさ」と「よさ」を実感できる。
★心をセルフコントロールするきっかけづくりができる。

 道徳の根拠を自然科学に求めるのはヤメロ、というツッコミとともに、これってやっぱり水伝か?と思ったのだが、紹介されている例は予想の斜め上だった。132ページから始まる「5 授業記録」には、瓶の中でろうそくを燃やしている絵が描いてあって、こんな文章が添えられていた。

〔導入〕
○理科の実験を思い出させる
T ビンの中のろうそくの炎はどうなりますか。
C だんだん小さくなって消える。
C 酸素が使われて、二酸化炭素が増えるから。
T どうしたら、この炎を消さずにまた、大きくできるでしょう。
C 空気を入れ換える。
C 酸素を送り込めばいい。
T 酸素を送り込むと、もっと炎が輝いて、大きくなりましたね。二酸化炭素のときは、どうでしたか。
C すぐに炎が小さくなって消えた。
〔展開〕
T ろうそくの炎を「心の炎」と考えてみましょう。酸素と二酸化炭素と同じような働きをしているのはなんでしょう。心の炎が明るく輝くときは?
(以下略)

 これはどう見てもあれだ、ろうそくが燃え尽きると寿命が尽きるとか、太くて勢い良く燃えるろうそくの持ち主は殺しても死なないとか、死神が火を吹き消すとその人が死ぬとかいう……。こんな例え方をされると別の光景が思い浮かんで、道徳どころではなくなる罠。一体どういうオカルトネタなのかと……。
 
 3つ目のネタはがらっと変わってマジンカイザーイタリア語版の紹介。日本版に比べて本がやたらと充実してるとか、アニメDVDは本の付録の扱いだということを説明。無駄に多い各国語字幕とか、日伊対訳字幕収録とか……、まあ、アニメばっかり見て語学を勉強しましょう、という結論である。

 本日の戴きモノは「絵心経付きの般若心経」。100円ショップで売ってるらしい。日本史の資料集なんかでもたまに紹介される、字が読めない人のために絵で発音を示したもの。お釜の絵を逆に描いて摩訶と読ませるというアレである。ところが、絵から正しい発音を導くためにはやたらと高度な知識と連想力が要求されるため、すなおに平仮名の読み書きを覚えてルビを振った方が易しかったんじゃないかというオチに……。

小学校教師用の道徳授業参考書に「水からの伝言」

Posted on 3月 2nd, 2007 in 倉庫 by apj

 「学校「道徳シート」とエンカウンターで進める道徳 高学年」の最初の例がそのまんま「水からの伝言」。
 教師が道徳の授業をするのに参考にする本という位置づけで、先月出版されたもの。本日生協に届いたので内容を確認した。
 明治図書といえば、私が小学生の頃から、生徒向けのドリルや副読本を出していたし、教師用の本も出していた、教育業界の出版社の老舗だが、最近はオカルトな内容のものを出すようになったらしい。
 昨年10月のAERAの批判記事やら、田崎さんのウェブやら、いろんなところで「教材として不適、教えるべき内容ではない」という意見が出ているのに、この時期に敢えて載せた理由を知りたい。TOSSは既に実践例を削除しているのだけど。
 当該実践例を書いたのは「千葉県市原市立若宮小学校 川添幹貴」となっているが、誰かこの先生の水伝授業を受けた人、いますか?