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ウチの学長が正直な人かもしれない件について

Posted on 9月 5th, 2007 in 倉庫 by apj

 SankeiWebの記事より。赤字は筆者。

山形大の結城新学長 天下りをあらためて否定

 官僚トップの前文部科学事務次官から山形大新学長になった結城章夫氏(58)が3日、就任会見し、「大学のしがらみにとらわれず、事務の合理化など改革をしたい」と抱負を語った。“天下り”批判は「(学長選で)文科省は動いておらず、大学から選ばれた身だ」とかわした。

 結城氏は「長く中央(省庁)にいたので、国の政策や社会の常識などは分かる」とし、教育内容の充実と、社会に対する説明責任を重視する考えを示した。

 会見には、学長選で争った前工学部長小山清人氏(58)ら新理事5人も同席した。教職員投票1位の小山氏が落選し波紋を呼んだが、小山氏は「私は捨てて組織を良くする一員として働く」と述べた。

 結城氏は山形県出身で東大工学部卒。卒業後旧科学技術庁に入り、平成17年から今年7月まで文科事務次官を務めた。
(2007/09/03 19:13)

 ってことは、「天下りの場合は文科省が動く」ってことを、公式に認めたってことだな。元事務次官の発言だから説得力が違うな。で、他のお役所だって似たようなもんだろうから、「天下り」の時はそれぞれのお役所が動いているってことになり、それがお役所の常識だと……フムフム。
 「天下り」とは「お役所が直接手出ししてくれる懇切丁寧なシステム」って理解すればよいのか……。
 とりあえず、学長がとても正直な人かもしれないという気がしてきた。ってか、この先どっかで純正天下りが発生したらそれはそれですごいことになりそうな予感が(汗)。


ここからは旧ブログのコメントです。


by mimon at 2007-09-46 05:09:46
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

当然、「文科省は動いておらず」の前には、
「前学長に根回しをお願いしたのは、個人としてであって、」
という言葉が感じられます。
所轄官庁の官僚トップだった当時のお願いが、個人としてか、省としてかは、本人の主観(以下略)。

就任後のメッセージは、公約と見なしていいですよね。
http://www.yamagata-u.ac.jp/jpn/yu/modules/university1/index.php?id=4&yu_m=1_4
事前説明どおり、「教育本位」は、変わっていません。
その実現のためにするべきことは、
教育関係で、予算を取ってくる。
省令を改正させてでも、授業料を大幅値上げする。
結果として、「卒業生の実力は、東北大よりも上」と評価される。
なんていうあたりが、任期の6年間に出来ることでしょうか。
噂されている、医療設備などは、その方向性が定まってから検討すべき項目だと思います。
部外者が勝手なことを申して、すみません。


by apj at 2007-09-19 09:15:19
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

mimonさん、
>教育関係で、予算を取ってくる。
 これはいいとして、
>省令を改正させてでも、授業料を大幅値上げする。
 これをやると、ウチ程度のレベルで授業料が高いなら行くメリットが無いと判断されてしまって受験生激減
>結果として、「卒業生の実力は、東北大よりも上」と評価される。
 は絶対無理、な気が。

 教育で予算を取った後は、
1)教育内容の充実
2)入学試験科目の科目数を増やし、難易度も上げる(履修漏れ高校なんかじゃ対応できない試験をする)。試験は当然学力試験中心、推薦、AOは極力減らす。
3)そのかわり、受験してもらうためのインセンティブとして授業料の大幅値下げ
を実行することでしょう。そうすると、お金は無いけど勉強の負担はいとわないという人が増えてくれるかもしれない。


by 良識のあるもの at 2007-09-08 09:43:08
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

>。“天下り”批判は「(学長選で)文科省は動いておらず、大学から選ばれた身だ」とかわした。

(理事=副学長)
官房長がやりくりをして、文部官僚は退職出向を繰り返し、大学間の渡りをおこなっている。「文部科学省が動いている」ので、元次官自ら、「天下り宣言」を行った。また、大学教員とのキャリア比較の点からもしっかり議論もされていない。文部科学省の中級以上の採用者は副学長のチャンスがあること自体おかしい。

(学長)
他の大学へ行くときに退職出向を行う、つまり文部科学省の人間である副学長が、発起人になり、前学長と医学部長(学長選考会議の委員)とともにお願いに行ったわけだから、文部科学省の人間が働きかけたことになる。したがって、「文部科学省が動いている」ので、「天下(上)り」である。

(国立高専の校長)
文部科学省の官房長が手配するので、「天下り」である。

※大学経営に詳しいとは何が根拠なのかわからない。
文部科学省が模範にしたのは、米国のシステムである。多くの教員が博士号や博士相当の著作物ももって公募で採用されている。大学職員も自らの分野「大学経営や財務」のキャリア教育(学位や相当著作物)のもと、幹部になっていくのが本来の姿である。大胆にも、このようなプロセスは経ていない。各大学の内部職員すべてと文部科学省高等教育局職員、外部の民間企業経営職間の競争によって、理事にや理事長になればよい。

→副学長や学長にそもそも経営の人間がいること自体問題であり、学問や芸術、医療等の分野では専門分野の優れた人を選ぶのが適切である。文部科学省自ら高等教育のリールを知らないこと自体、日本の恥である。


by 良識のあるもの at 2007-09-56 09:58:56
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

文部科学省の内部では、官房長に任せて、全国の事務局長を理事や副学長へ昇格させ、退職出向を繰り返す大学間の渡りを認めていたわけだから、天下り政策を行っていたと考えることができる。最後に自らが監督先の長になったのだから、天下りである。これは、日本経済新聞の社説9月4日付けの社説で天下りと断言している。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070903AS1K0300303092007.html
天下りでないといっているのは、文部科学省関係者だけ。


by RBの残党 at 2007-09-44 09:59:44
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

「経営の人間」の定義が不明ですけど、副学長や学長に経営のセンスのある人がつくのは、ちっとも問題ではありません。
むしろ望ましいと思います。

apj氏のようなユニークな存在が受験生を誘引するので個別領域では東北大をしのぐことも可能では。
新学長がapj氏を大事にするかどうかでその器を判断したいなあ。


by 公正な議論を望むもの at 2007-09-14 10:07:14
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

>「経営の人間」の定義が不明ですけど、副学長や学長に経営のセンスのある人がつくのは、ちっとも問題ではありません。

米国の州立大学以上および欧米の有力大学を例に説明していください。根拠が全くない。

>新学長がapj氏を大事にするかどうかでその器を判断したいなあ。

このような表現の自由を認めない、脅しともとれる発言は民主主義国家になじみません。


by apj at 2007-09-02 11:01:02
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

RBの残党さん、
>apj氏のようなユニークな存在が受験生を誘引するので個別領域では東北大をしのぐことも可能では。

 それはないと思いますよ。受験生の目標は、多分、卒業後の進路じゃないですかね。就職がどれだけいいか、といったあたりにある。

>新学長がapj氏を大事にするかどうかでその器を判断したいなあ。
 逆にそれは困りますね。
トップは制度を作って運用するのが仕事なんだから、個人に依存するようなものを作っては困る。不安定になります。
もちろん、制度設計として個性を生かす方向でいくか、殺す方向でいくかという選択はあるでしょうけど。

 それから、良識のあるものさん、そろそろご自分のblogでも作って主張してくださいませんか?こちらの関連エントリからTBしますよ。コメントをたくさんいただけるのはありがたいのですが、最近数が増えすぎて、横のコメント欄を探すのがそろそろ大変になってきてまして……。(blogの作者にも問い合わせたのですが、最近の何件かを選んでコメントリストを折りたたむ機能が無いんですよね……)


by apj at 2007-09-18 11:11:18
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

ちょっと提案なんですが、コメントが増えまくる学長ネタ、PukiWikiのページに移行して、掲示板を付けておくというのはどうでしょうかね?
関連情報を集約するという意味では今の形でもいいんだけど、blogだと他の話題やコメントもいろいろ出てくるので、情報の集約力(?)に限界がある。


by 良識のあるもの at 2007-09-23 12:18:23
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

おそらく、今後のヒット数は指数的に増えるでしょう。

明らかな天下り問題と大学の危機に関する問題なので、政治家や新聞記者等が今後もこの問題を注視することでしょう。場合によっては、天下り根絶法案のとき、国会でも取り上げられるでしょう。

これからの国内の大学の天下り問題のコア的存在になるでしょうから、今後の運用については、最もいいかたちにされることが必要でしょう。独自の公式blogについては、まだ考えておりません。また、これまでの論点を集約したほうがよさそうですね。多くの人にとって投稿しやすいのがいい。おまかせします。

「よくないこと」と「いいこと」の区別がわからなくなった日本全体の風潮。大学の役割を理解できない知識人?が増えた日本。これでは文系や理系の研究者が気の毒です。

もっと国外をみてほしい。純粋な学者だけの国際会議、実務家と学者による国際会議等がどのようになっているのかを理解してほしい。文部科学省の役人は自分たちのやっていることがいかに問題があるかを理解することでしょう。自分の業績を他人と区別して文書にまとめる文化がグローバルスタンダードです。学者に限りません。したがって、学者に限らず、実務者の国際会議がありますから、テレビでいい加減な発言をするのではなく、実務者会議でもでたらいいのです。その点は、日本は理系分野を除き、三流国家。

副学長に見合うように、大学経営の分野で国際会議で発表している官僚はどのくらいいるのかを説明してもらいたい。文部科学大臣が答えるべきでしょう。

最近、東大で正統的な大学院の大学経営コースができたようですから、教育のスタイルは確立されつつあると思います。もちろん、学歴をいっているわけでなく、文系の一部の研究者のように、この分野の在学生がインターナショナルな活躍ができるかを見守りたいです。これができて、幹部職員候補の育成や将来の理事や副学長(学問的条件を満たすもののみ)はできる。時期尚早が私の結論です。学長は話にならない。

結城氏はこのページを見ているなら、山形大学さんに迷惑をかけないためにも、週末や夜に、これまでの成果をまとめて、東大の大学経営の博士号(論博)を1年以内に出すべきだと思う。これまでのことを国際会議で発表したらよい。

そうすれば、終わりよければ万事よしとして、今後天下りがないように大臣と話し合うべきだよ。


by mimon at 2007-09-24 07:28:24
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

apjさんご提案の
> 2)入学試験科目の科目数を増やし、難易度も上げる
ですが、やりすぎると、逆効果になることもあります。
共通一次すらなかった、昔の話ですが、
私の進学した大学は、英語の入試問題が難しいことで有名でした。
英語を苦手だった私が受かったのは、
「平均点が零点に近ければ、本当に零点しか取れなくても差がつかない。」
という、乱暴な理由でした。
もちろん、他の教科でがんばったわけですが、
そんな偏った人間の入学をよしとするかどうか、冷静に考えたほうが良さそうです。


by apj at 2007-09-31 08:16:31
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

mimonさん
>英語を苦手だった私が受かったのは、
>「平均点が零点に近ければ、本当に零点しか取れなくても差がつかない。」
>という、乱暴な理由でした。
 私は同じパターンを数学でやらかしました。
ただ、数学も試験科目に入っていれば勉強はしているんですよ。ただ、問題がとんでもなく難しすぎてたまたまそうなっただけで。
 最初から試験科目にないと勉強すらしてこないし、高校側が教えないということも生じます。
 ウチの大学のレベルなら、全体にもうちょっと難易度を上げても大丈夫かな、と。東大京大クラスでさらに難易度を上げます、なんてやった日にゃ、点が取れる人が居ないという状態になっちゃうかもしれませんけど。


by mimon at 2007-09-53 09:04:53
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

> ウチの大学のレベルなら、全体にもうちょっと難易度を上げても大丈夫かな、と。
入試は、今まで勉強してきたヤツは、これからも勉強するだろうという、
相関関係を試しているようなものですから、
その相関係数が出来るだけ1に近づく制度を目指すのが良いのでしょうね。

妙な自慢ですが、受験生当時の旺文社模試で、
単科ですけど、100を越える偏差値がついたことがあります。
「難問・悪問」ばかりの試験問題でした(模試の意味がない)。


by 杉山真大 at 2007-09-18 02:19:18
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

> 「天下り」とは「お役所が直接手出ししてくれる懇切丁寧なシステム」って理解すればよいのか

ぃゃ、それって天下りの本質なんですよ。お役所が直接手出ししなくても、受け入れ側が彼是根回ししてポストを用意して、実現すれば結果としてオコボレを分けてもらえる。官庁が斡旋するという形式の問題で拘っているから、本質を見間違えてしまうんじゃないかと。

天下りの問題って「有能な人材を活かす」とか「斡旋を受けたのではなくて、人に推されたり自分で進んで就業する」とか一見もっともらしい名目で、ドロドロなことが行われているから性質が悪いんですよ。そう言えば、「火の玉教授」も天下り積極賛成派だったんだよなぁ・・・・・


by 良識のあるもの at 2007-09-04 07:48:04
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

>杉山様
持論ではあるが、一般にいう天下りとは違う「大学の特殊事情」を理解していただきたい。

そもそも、私大と同じ経営組織の内部(理事長および理事と事務組織)の問題だけであれば、天下り反対の議論は教員全て(医学部以外)はしていなかったと思う。つまり、自民党以外の主流となりつつある天下り根絶の議論とはやや異なる。

国立大学の場合、役員組織(経営と教学のミックス)において、学長や副学長といった部分に、官僚が占めてきたから、大学の組織を壊す気かとなったのだと思う。これが、言葉を換えて、「天下(上)り」だと問題視しはじめた。

したがって、最も早い解決方法は、山形大学の規則において、学長および副学長、教員の教学組織、理事長と理事、事務組織の経営組織に分けることが重要でしょう。これを学長が受け入れるかです。

これでこの問題の大きな問題の大部分は解決すると思います。将来のこともあるようなので、理事の先生方に役員会や経営協議会に提案してもらう方法もあるとは思います。


by 杉山真大 at 2007-09-15 07:44:15
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

>そもそも、私大と同じ経営組織の内部(理事長および理事と事務組織)の問題だけであれば、天下り反対の議論は教員全て(医学部以外)はしていなかったと思う。

いや、それは私立学校の経営をご存じ無い方の意見じゃないかと。幾ら経営の問題であっても教育や研究にモロ影響を受けることは充分あり得る話であって、それが関わってくると単に経営の問題で割り切れないんじゃないかと。
#そうでなくても、事務方が強いと言われているのは以前から指摘されていることだし

>国立大学の場合、役員組織(経営と教学のミックス)において、学長や副学長といった部分に、官僚が占めてきたから、大学の組織を壊す気かとなったのだと思う。これが、言葉を換えて、「天下(上)り」だと問題視しはじめた。

国立大学でも官僚から転身した教授ってのは、結構いるもんじゃ・・・・・その延長上に独法化という事情が加わって、今回の大騒ぎになっている訳で。

>学長および副学長、教員の教学組織、理事長と理事、事務組織の経営組織に分けることが重要でしょう。これを学長が受け入れるかです。

それで解決すれば済む問題じゃないと思いますよ。教学と経営を完全に分けることが出来るかと言っても、教育や研究を如何に評価するかって問題から議論を始めなければならなくて、下手したら学問分野ごとのエゴぶつかりまくりの調整不可能な状態になる気がするんですよね。それを強力なリーダーシップという”力技”で乗り切っても、今度は現場のモチベーションの問題が残ってしまう。事はそう簡単じゃないのでは??


by QР at 2007-09-52 08:05:52
Re:ウチの学長が正直な人かもしれない件について

「日経ビジネス」9.10.号の「敗軍の将、兵を語る」欄で小山前工学部長が3ページにわたって内情を語っていました。編集部による前学長への書面でのQ&Aも載っています。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/premium/20070906/134167/