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昔から登校拒否とかであったような……

Posted on 6月 25th, 2008 in 倉庫 by apj

 ZAKZAKの記事より。

若者に急増する“新化型”…「うつの真実」

 受診待ちが出るほどの“うつ病”の急増。その背景には精神科に受診しやすくなったこともあるが、顕著なのはいまや4割を占めるといわれる“新型”の出現。いったい従来のうつ病と比べて、どう違うのか。

 【症状】

 近年、臨床医を悩ませている急増中の“新型”。特徴的なのは、仕事や日常生活がままならないことに対して従来型の『自分を責める』のではなく、『他人や環境のせいにする』傾向が強いこと。「会社が悪い」「上司が悪い」「異動させられたのが悪い」などの言葉が口癖のようにかいま見られる。

 「ほとんどが20-30代前半の若い世代に発症して、逃避型や回避型などと呼ばれている」と話すのは、日本精神神経学会理事で池上クリニック(川崎市)の池上秀明院長。さらに、気分の落ち込みが継続する従来型と違って、会社で仕事をしていると重くなる。

 【原因】

 本来、うつ病の原因には、真面目で責任感が強いなど本人の素質による“内因”と、職場環境や人間関係などの“外因(環境因)”があり、双方がからみ合って発症している。

 外因が強いようなケースでは環境を変えてやるだけでも“抑うつ状態”は比較的よくなる。一方、内因の方が強い場合には薬は効くが重症化しやすい。ところが新型の場合、一見、会社に問題があるように思えるが、そこがフェイント。「本当の原因は当人の心の構え方にあるので、たとえ会社の環境を変えてもあまりよくならない」など、原因の究明が一層複雑になっているのが特徴だ。

 【治療】

 “うつ”の悪化自体は抗うつ薬で抑えられるが、根治的な治療をするにはカウンセリングを要し、時間もかかる。

 「試行錯誤を繰り返しながら年齢を重ね社会に妥協できるようになれば、少しずつ心の構え方も改善されていく」と長い目でみることが肝心だ。

 「周囲では少し“わがまま”に映るが、このタイプのうつ病が増えていることの理解とサポートが重要」と池上院長。

 上司と部下の溝を深める新型のうつ病。蝕まれる前に会社単位の対策が必要だ。

ZAKZAK 2008/06/25

 「心の構え方」まで病気に入れるという部分がちょっと疑問なのだが……。単に甘やかされて周囲が見えなくなっているだけの人とどう区別するのだろう?

【追記】
 その一方で、こんな本もあったりして。
「心の傷」は言ったもん勝ち 中島聡著 新潮新書
書いたのは精神科医。専門家の間で本当はどういう見解になっているのか知りたいところ。


ここからは旧ブログのコメントです。


by zorori at 2008-06-31 16:41:31
Re:昔から登校拒否とかであったような……

おはようございます。

私が勝手にイメージしているうつ病とは違う「病的わがまま」という印象を受けます。
結局「うつ病」の定義次第なのでしょうね。
とりあえず、病名は症状に対してつけられると思うので、その後、原因や発症メカニズムが解明されてくると、別の病気であったということもありますよね。それで、なんか変だなと感じるのは、症状も原因(内因の方)も違うように見えるのに、なぜ同じ病名でくくるのかです。同じ薬が効くからでしょうか。


by Noe at 2008-06-52 18:16:52
Re:昔から登校拒否とかであったような……

これって「新型うつ」じゃ無くて、ただの適応障害だと思うんですが、違うんですかねえ。
専門家が言っているんだからそうなのかも知れませんが、病気を増やしたいだけのように見えて仕方がありません。


by apj at 2008-06-32 19:33:32
違和感ありまくりです

 鬱も入ってるかもしれませんが、甘やかされてろくに躾もされなかったワガママ君という要素も相当に強い気がします。というか、そういう人が環境に馴染めず鬱になるとこうなる、という話に見えて仕方がない。
 真面目で几帳面な人がストレスに押しつぶされて(つまり客観的に見てもストレスの多い環境で)発病というのが従来からのパターンだとすると、もともとワガママで辛抱するということを知らない人が、客観的に見て普通の環境に耐えられずに鬱になる、というパターンに変わっただけのような……。
 何でこの括りになっているかは、専門家に訊かないとわからないでしょうけれど。


by なざろふ at 2008-06-01 05:03:01
Re:昔から登校拒否とかであったような……

apjさま

> もともとワガママで辛抱するということを知らない人が、客観的に見て普通の環境に耐えられずに鬱になる、というパターンに変わっただけのような……。

あくまでも私見ですが、これを読んで
 もしかして、自分のことかも・・・・
と思うかどうかで、従来型の鬱か、いわゆる「新型のうつ病」かの見分けが出来るように思うのは私だけでしょうか?


by DH98 at 2008-06-46 07:56:46
昔からいろいろと・・・・・

30年くらい前に
「モラトリアム人間」とか「スチューデントアパシー」
とかありましたからね。
「うつ病」というのには違和感あります。
「うつ状態」ということになるんでしょうか。
Noeさんの適応障害が近いような気がしますけど。


by apj at 2008-06-00 08:25:00
モラトリアムねぇ……

なざろふさん、
 何か、このタイプの鬱があると言われると、秋葉原の加藤容疑者を連想してしまうのですが。
 自殺の可能性より殺人犯になる可能性が高そうな気が。

DH98さん、
 そういえば、大学院重点化が始まった頃、博士課程入試の面接で、
「博士課程進学の理由を述べてください」
「モラトリアムです」
というやりとりで合格した伝説の猛者が居たっけか……。


by あんじ at 2008-06-35 22:04:35
そういう人たちにちょっと同情的

こんにちわ

 これだけことごとくはしごを外されたら、そんな気分になってもおかしくはないような気がします。
 ZAKZAKの記事は、新型のうつといいますが、「新型」なんて言葉はおかしいし、病気としてだけとらえるのもいただけない。

>上司と部下の溝を深める新型のうつ病。蝕まれる前に会社単位の対策が必要だ。

 この一行は、「上司」「部下」「うつ病」「会社」の四つを別の言葉に置き換えると、なるほどなと思います。


by hir at 2008-08-53 20:08:53
「擬態うつ病」という言葉もあります

この記事に限らず「従来のうつ病とは違うタイプのうつ病」のような表現を見かけることがあるので、医師によって捉え方は異なる部分もあるようですが、精神科の診断基準でうつ病にあてはまる部分はあるものの、従来のうつ病と異なる面があって異なる対処が必要な「うつ病もどき」があるという考えは多くの精神科の医師が持っているようです。
ここでは「新型のうつ病」とされていますが、精神科Q&A を作成されている林先生は「擬態うつ病」という概念を提唱されています。(「適応障害」という括りにいれている感じの文章も見たことはありますが、これは私の誤解かもしれません)。

林先生の「擬態うつ病」という考えが、対処まで含めてまとめたものとして分かりやすいと思っています。ただし、専門家の間でどの程度受け入れられているかはわかりません。
http://www.so-net.ne.jp/vivre/kokoro/deplib.html#gitai1
http://www.so-net.ne.jp/vivre/kokoro/gitaiqa1.html

精神科医が一応は精神的な疾患として捉えているのは、次のような点があるのではないかなと素人なりに考えています。
・うつ病の診断基準にあるていどひっかかる。
・病気として概念が確立されておらず、ほとんど詐病といえるものから、典型的なうつ病と異なるものの精神科の治療が明らかに必要なものまで広い範囲のものが混ざっている。
・性格として捉えられるようなものであっても、社会生活に支障をきたすものであって精神科の介入で改善するのであれば、精神科の診療の対象となるという考えがある (のかもしれない)。


by apj at 2008-08-15 00:53:15
診断基準って無いんですかね

 何て言うか、タイプで分けるという部分が曖昧というか、すっきりしませんよねぇ……。脳内の伝達物質のこれがどれだけ減っている、みたいな、物質の変化に基づいた診断の基準って無いんですかね。
 この手の話を見かけると、何だか、
1)正常からはずれた脳内のどこかの部分
2)そこがはずれた結果として起きる神経伝達物質等の変化
3)人の活動としてみた場合の変化
の違うレイヤーがあるものに対して、3)だけ見て話をしているような気持ちの悪さというか座りの悪さがあるんですが。