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神戸の裁判、判決確定

Posted on 3月 18th, 2009 in 倉庫 by apj

 先ほど、代理人の弘中絵里弁護士からメールが届いた。相手方代理人の藤原弁護士と連絡がついたとこと。
神戸の裁判は判決確定。控訴審は無い。

 残るは、東京地裁でやっている、私が原告で吉岡氏が被告の名誉毀損訴訟のみ。

 掲示板の方でこなみさんが指摘していた

判決でもうひとつ重要な意義をもつポイントは,原告の訴えが管理者の大学ではなく,参加人の批判的言論に対して行われているという認識で書かれていて,参加人の言論について論じた上で訴えを退けているということにあると思います。天羽さんも最初からそのことに興味をもっていたのですが,この意味は実質的にもとても大きく,当事者とまっとうに議論しても勝てないから管理責任者に文句を付けて間接的に止めさせようとする,嫌がらせに近い作戦を封じているわけです。敵将をやっつけるために馬を狙う作戦がとれない。多くの場合,管理責任者は当事者雇用者であったりもするわけで,気に入らないネットの言論に対してトップにねじこんでいく作戦はあり得るのですが,それは相手が違うだろ!というわけですからね。

 ということを、下級審とはいえはっきりさせることができた意味は大きいと考えている。

 気軽に大学にクレームをつけて、都合の悪い情報発信を止めさせるといった方法をとる、つまり「圧力をかける」という方法は、法廷までいけば通用しないということだからである。トップにねじこんでも、話が裁判所までいけばそんなのは通用しない、ということがはっきりしただけでも、将来に向けて、情報発信の自由を多少は確保できたのではないかと思う。逆に言うと、組織側が訴訟を嫌がって事なかれ主義に走っても、個人の側にとことん争う気がある場合は無意味ということでもある。
 また、大学に対ての訴訟という手段を使っての妨害については、独立当事者参加という方法で個々に防衛可能でだということがわかったことも大きい。
 もちろん、誰が見ても名誉毀損ということをやってしまったらダメだから、気を付けなくてはいけないのだけど。

【追記】
 kikulogにもコメントしたのだが。

 実質的には、今回私がやったことは、大学が教員の情報発信を積極的に保障せよという話とは逆に向かっている。大学が保障なんかしたら、大学が責任を負わなければならなくなる。そうならないために発信者本人が裁判所に出向いた。大学に保障なんかさせたらまずいというのが私の考えで、今もこれは変わっていない。つまり、大学を法的に免責するように動くことによって、情報発信の自由を確保しようということである。この手の情報発信において、大学を当事者にしてはいけない。大学が当事者になると、大学としては事前の管理をしなければならなくなり、実質的に大学からの批判的な内容の情報発信はほとんど不可能となる。

 今回の件で大学からの情報発信が気軽にできるようになったと勘違いしないでほしい。大学からの情報発信の内容について責任を問われたときには、なあなあで引っ込める方が圧倒的に「楽」なのだ。当事者参加して争うというのは、敗訴のリスクも伴うし、時間も金もかかる。
 じゃあなぜここまでやったのかというと、言論と表現の自由なんてのは、黙っていたって守られるものではないし、じっとしていても与えられるというものではない、それなりの手間をかけて闘って勝ち取るものだというのが、ごく当たり前のことだと考えていたからである。逆に言うなら、表現する側に闘う意思がない限り、大学からの情報発信であっても守れないよ、ということで、むしろ表現する側にとって覚悟を要求するものだと理解してほしい。

 弁論に通いながら、イェーリングの「権利のための闘争は、権利者の自分自身に対する義務である」という言葉の意味をずっと考えていた。法を実現するためには闘争(つまり訴訟)が必要ということを実感している。同時に、法的紛争は法の世界を豊かにするのだろうとも思う。
 以前にも「法的紛争は近代社会における個人の自立の証」という言葉を引用したが、封建的ムラ社会的ルールしかなかったら、今回のような紛争はできなかっただろう。
 最初に「権利のための闘争」という言葉を知ったのは、高校の現代社会の授業だった。意味がわかるまでに(わかったと感じるまでに、か?)長くかかった言葉の一つである。

php……

Posted on 3月 17th, 2009 in 倉庫 by apj

 phpで書いた自作掲示板の新サーバへの移行を試みている。

 php4からphp5になって、pg_connectのパラメータが、キーワード=値、の形式で並べたものを渡すように変更。これくらいはまあ、予想の範囲なのでいいかな、と。
 ところがなぜかエラーが出まくる。
 いろいろ調べていたら、これまでは、PHPのソースとして、

<?
 ソース
?>

<?php
 ソース
?>

が混在して動いていたのだけど(全角で書いたのは、このblogで記号チェックにひかかったらしくきうまく出ないから)、何か、「<?」で始まるファイルがphpのファイルと認識されないっぽい。始まりは「<?php」でないとダメらしい。includeで読み込んでいるファイルでこれをやっていて、読み込んだファイル内の変数(というか定数定義)を使ってあれこれやってるところが軒並み引っ掛かってるみたい。コマンドラインでphpを叩いて、echoでinclude先の変数の中身を表示させるテストをしたけど、「<?」だとphpのファイルだと思ってくれない模様。php.iniの設定をいじれば何とかなるのかなぁ。でも、他にも修正部分が出てきそうだから、今回全部見直して、怪しいところはちょっとずつ手を入れた方が建設的かな。

 1回作って順調に動いていると、それ以上触ろうとは思わなくなるので、結果として世の中についていけなくなるというか。

親権停止が認められた例

Posted on 3月 15th, 2009 in 倉庫 by apj

 47ニュースの記事より。

即日審判で父母の親権停止 家裁、息子への治療拒否で

 東日本で2008年夏、消化管内の大量出血で重体となった1歳男児への輸血を拒んだ両親について、親権を一時的に停止するよう求めた児童相談所(児相)の保全処分請求を家庭裁判所がわずか半日で認め、男児が救命されていたことが14日、分かった。

 子供の治療には通常、親の同意が必要で、主治医は緊急輸血が必要だと両親を再三説得したが「宗教上の理由」として拒否された。病院から通報を受けた児相は、児童虐待の一種である「医療ネグレクト」と判断した。

 医療ネグレクトに対しては過去に1週間程度で親権停止が認められた例があるが、即日審判は異例のスピード。児相と病院、家裁が連携して法的手続きを進め、一刻を争う治療につなげたケースとして注目される。

 関係者によると、当時1歳だった男児は吐き気などを訴えてショック状態となり、何らかの原因による消化管からの大量出血と診断された。

 病院は「生命の危険がある」と児相に通告。児相はすぐに必要書類をそろえて翌日昼、両親の親権喪失宣告を申し立てるとともに、それまでの緊急措置として親権者の職務執行停止(親権停止)の保全処分を求めた。

 こうした輸血拒否への対応については日本小児科学会など関連学会が08年2月、合同で指針をまとめており、今回のケースでも病院側はこの指針に従って対応した。

2009/03/15 02:07 【共同通信】

 誰が考えても、1歳の男児が宗教的理由による輸血拒否を本人の意思で認めるということはあり得ないわけで。
 放っておけば命に関わり、親が刑法218条、219条あたりの、保護責任者遺棄等・遺棄等致死傷に引っ掛かりそうなケースである。ここまで来ると、さくっと親権停止が認められるというのが、今の裁判所の基準と考えて良いのだろう。

生協……orz

Posted on 3月 14th, 2009 in 倉庫 by apj

 河北新報の記事より

個人情報ネット流出 山形大生協でメモリー紛失

 山形大生協(丹野憲昭理事長、組合員約1万1000人)が、組合員の学生や教職員ら延べ1万3807人分の個人情報の入ったUSBメモリーを紛失していたことが13日、分かった。情報の一部がインターネット上に流出するなどの被害が出た。USB回収のめどは立っていない。

 USBに記憶された情報は、2002―05年に卒業した組合員学生の氏名、住所、電話番号、実家の電話番号などと、生協パート職員の氏名、時給、給与振替口座など。USBは山形市小白川キャンパス内の住まい事業部に勤務する男性管理職(48)が所有していたが、昨年10月ごろに紛失したとみられる。

 今年1月、生協パート職員の労務データファイルがインターネット上に流出しているという匿名のファクスが生協に寄せられた。この時点で生協側はUSB紛失に気付かず、関係職員に謝罪しただけで事実を外部に公表しなかった。

 3月6日、USBの情報内容やデータのコピーを添えた匿名の手紙が山大理事あてに届き、生協が手紙の内容とパソコン内の情報などを照合した結果、紛失の事実が判明した。

 手紙は「上山市内でUSBを拾った」と告げるとともに、紛失を外部に公表しないことを「山大生協ぐるみの隠ぺい」と批判。「山大生協には今こそ天誅(てんちゅう)が下されるべきだ。(他大学のように)今こそわれわれ協会傘下の町の不動産屋に任せるべきだ」とアパートなどの仲介業務を民間に任せるように要求する一文もあった。

 山大生協では、個人情報を含むデータを職員が誰でも自由にUSBで複製使用し、作業終了後も削除しない状態が続いていた。生協は「個人情報の取り扱いや管理状態が著しくずさんだったことが紛失の最大の要因」と認めており、山形署に遺失物届けを出すとともに、関係職員を近く処分する方針だ。
2009年03月14日土曜日

 ウチだ……orz。

 確かに、ずさんなデータ管理は言い訳のしようがないが、拾って届けずネットに流した奴は何者だ?拾って届けなかった悪意有る実行犯を捕まえて、厳重に処罰してもらいたいな。

何かいい方法は……

Posted on 3月 13th, 2009 in 倉庫 by apj

 このblogだが、さくらインターネットを利用して公開している。
専用サーバではないので、何人かで1つのサーバを使っているのだが、数日前から急にphpの実行が遅くなった。日が変わる頃は以前と変わらないが、日中が遅くて仕方がない。
 blogはもともと重いんだけど、訴訟専用掲示板まで道連れで急に重くなる理由がわからない。あっちは、そんなにいろいろ読み込んでいるわけでもないし。

 さくらのレンタルサーバで使えそうなパフォーマンス測定ツールが無いかとか、php.iniの設定などで、もうちょっと軽くする方法がないか検討中。何かいい方法をご存じの方がいらっしゃいましたら、アドバイスいただけないでしょうかm(_ _)m。
 専用サーバに移るという手もあるけど、ちょっと値段が……(汗)。

iKoyomiを買った

Posted on 3月 11th, 2009 in 倉庫 by apj

 iPod Touch/iPhoneアプリのiKoyomiを買った。
 カレンダーアプリ。小さいフォントで1ヶ月分の予定がカレンダーに表示されて開始時間も出る(長い予定は端が切れるけど)。ダブルクリックでカレンダーの拡大表示ができる。最大の特徴はWi-FiでiCalと同期できること。900円とアプリの値段にしては少々高めだが、値段だけの値打ちは十分にある。祝日データも登録済み。

 Palmの置き換えアプリに似たような表示ができるものがあった。ただ、置き換えアプリではないので、iKoyomiとiCalを同期させても、元々入っている「カレンダー」の表示データが変わるわけではない。ただ、iKoyomiがあればほとんど「カレンダー」を使わなくても足りそうなので、まあいいか。

何か妙に重いです

Posted on 3月 11th, 2009 in 倉庫 by apj

 昨日あたりから、blogが……というよりもこのレンタルサーバで動かしているPHPスクリプトがどれも重くなってて、URLを叩いても数十秒待たされる状態になっている。以前は数秒以内だったので明らかにおかしい。
 特にアクセス数が跳ね上がった様子もないので、原因がよくわからない。blogだけかと思ったら、別ドメインの掲示板スクリプトも同じ状態になっている。ネットワーク自体の問題かとも思ったが、場所を変えてアクセスしてもやっぱり重い。Geeklogも重い。
 httpdを使うだけのもの、つまりPHPを使わずに表示するページはさくさく出る。
 現在、サーバ屋さんに問い合わせ中。

「親がアホのツケを子どもに回すな」が意味している内容

Posted on 3月 10th, 2009 in 倉庫 by apj

コメント欄に書いたのだが、まとめのためにエントリーを上げておく。現行法の範囲内で考える。

高校は義務教育ではなく、公立高校では授業料を受益者が一部負担するという制度で運営されている。
高校と(あるいは地方自治体と)の契約は、高校生本人だけでは無理で、法定代理人(親権者がなる)が必要。
授業料が不払いという事実があった。

【ケース1】
 親が、「高校なんかもう行かなくていい」あるいは「支払わないために除籍になってもいい」という考えの持ち主であるために授業料を払っていない場合。
 督促が嫌なら退学させるという手段を親はいつでも取ることができる。これを第三者が止めることはできない。
 授業料の督促の少額訴訟をされたところで、未払い分を払った後の支払拒否=退学、で終わる。さかのぼって退学ができれば、そうするだろう。とことん払わず、登学停止でもかまわず、そのうち行われるであろう除籍を待つ、という方針を親がとったとしても、結果は変わらない。
 道義的にはともかく、これを法的に止める手段はない。「ツケを回す」も何も、現行法では親にそうすることを許している。
 保護者と親が別人で、親権者に対抗して保護者が居るという状況なら可能だが、法的には親権者が反対している限り、親の反対を押し切って高校に進学することは法的には不可能である。親権者である親が別の例えば親戚の人を保護者と認めて、高校に進学するという形であれば、幾らでもあるが、親が保護者も認めないから法律で争ってというのは、親権の否定になる。現行法では、例えば家庭放棄だとか児童虐待といった刑事罰の対象になるような事実がない限り親権を否定することはできない。高校に行きたがる子どもを進学させないといっただけでは、刑事罰の対象にはならない。客観的に子供が親を許せないといった場合であっても、第三者が親権を取り上げることは出来ない。(酔うぞさんのコメントのまとめ)
 感情論では、高校に行きたがる子どもを行かせないというのは虐待にあたるという話になるかもしれないが、法的には刑事罰相当でないと虐待とは判断されない。

 現行法の範囲を超えて少し考察すると、部分的に親権を制限する制度を作れるか、という問題となる。
 このことについては、別エントリーのコメントの法匪さんの指摘の通りである。「教育に関わる自由を、親からの子供の自由だと把握して、親から取り上げてでも子供に公教育を課すことを教育の自由の保障だと考える」という立場を日本ではとっていないので、まずこの部分を変えることになる。そしてこの立場を取るのであれば、今度は「(近代法というものの建前上一人前の主体ではありえない)子供自身に対して公教育内容の公権的決定などを通じて国家介入が行われるという事態」を容認しなければならなくなる。後の方を受け入れないなら前の方を受け入れることはできない。
 すると、「親がアホのツケを子どもに回すな」が具体的に意味するところは、「親の親権を制限してでも子供に公教育を課す(このための国家権力の介入は認める)制度を作れ」という主張となる。

 介入とまではいかないが、もうちょっと子どもを援助しても良いのではないかという方針でいくならば、「親がアホのツケを子どもに回すな」は、「子供が高校に通うことを希望しているのに親が反対して金を出さない場合には、授業料の支払を免除せよ」という主張となる。

【ケース2】
 親が、経済的に支払は可能であるにもかかわらず、隙あらばズルをしたいという考え、あるいは単なるずぼらで授業料を払っておらず、しかし子どもに高校を卒業させたいと思っている場合。
 この場合は、少額訴訟までいけば払うことが予想されるし、強制執行しても問題はない。「登学停止」「除籍」を予告しての厳しい督促があったら払うかもしれない。「卒業証書を渡さないぞ」をくっつけた程度の督促で現実には支払われた(元の新聞記事の件はこのカテゴリーに属するものであったと推察できる)。
 すると、これらの督促手段をとった場合、「親がアホのツケが子どもに回」ったとして、子どもにとっての具体的な「ツケ」の内容とは、「プレッシャーをかけた請求が行われていることを子ども自身が知って、一時的に不安を感じたり嫌な思いをする」ということだけに止まる。この程度の不利益であれば「親がアホのツケを子どもに回すな」という理由で第三者が積極的に非難するほどのものではない。
 なお、子どもが「登学停止」「除籍」でもよいから払わない、と考えて、実際にそこに至らせる親はケース1として考えることになる。

【ケース3】
 経済的に困難で払えない場合。
 既に指摘があったように、現状では殆どが授業料免除の対象になっていると考えられる。公立高校での授業料免除の対象は10%程度になることもあり、相当に手当てがなされている。
 経済的理由で退学するケースが現実にはあるが、各家庭がそれぞれの事情のもとにその結論を出した場合、子どもの希望に添うものでなかったとしても「親のアホさに子を巻き込む」と第三者が非難するのは不適切だろう。

 このように考えると、私が当初賛成した手段「授業料を完納しないと卒業証書を渡さない」は、「親のアホさに子を巻き込む」ということを引き起こしていないし、引き起こしようもない。
 もちろん、「プレッシャーをかけた請求が行われていることを子ども自身が知って、一時的に不安を感じたり嫌な思いをする」だけでも、「親のアホさに子を巻き込」んだという判断をする人が居るかも知れないが、この部分の判断がそんなにはっきり決まるとは私には思えない。契約は守らないといけない、ということをプレッシャー付き督促を通して体験して知ることが、高校生くらいの年齢の子どもにとって、悪いことであるとは思えない。
 「親のアホさに子を巻き込む」ことが起きると考えて私を批判している人達は、多分幻を批判している。

【追記】
 「親のアホさに子を巻き込む」という批判は、プレッシャー付き督促(所謂悪質な取り立てとはほど遠い程度)が行われていることを子供に知らせることの可否についての立場の違いの表明でしかない。
 そうではなくて、授業料が滞納されることによる具体的な被害の発生まで含めての議論だというのであれば、次の2つのうちいずれかの意味だと考えることになる。

 「親がアホのツケを子どもに回すな」というスローガンめいた主張を具体的な制度にまで落とし込むと、
(1)親の親権を制限してでも子供に公教育を課す(このための国家権力の介入は認める)制度を作れ
あるいは、
(2)子供が高校に通うことを希望しているのに親が反対して金を出さない場合には、授業料の支払を免除せよ
となる。
 「親がアホのツケを子どもに回すな」という理由で私の意見に対する反対意見を述べているつもりになっている人たちが、本当にしなければならないことは、(1)や(2)を実現するための論を立てるということである。主張している人達がそのことに気付いているかどうかは不明だが。
 (1)は、教育の強制に対する国家権力の介入を認めるか、つまり、各個人の教育の自由の侵害を認めるかという部分で合意されないかぎり、制度として作るのは無理だろう。教育の自由が欲しいと考えている人達の主張とは両立することがないからである。

【追記2009/03/12】
 酔うぞさん他のコメントにより、社会の側が親権を一部制限して教育を強制する、というのが即ち義務教育だと気付いたので追記。つまり、(1)を実現するとしたら、高校教育の義務教育化という考え方にいきつくことになる。

 (2)は、実行したらモラルハザードを引き起こし、受益者の部分負担で運営するという公立高校の制度そのものが崩壊する。この方針でいきたいなら、最初から公立高校の授業料は無料とし高校を義務教育にせよという主張をするしかない。

 スローガンは具体的な制度にまで落として考えないと、感情論になるだけで、議論の精度は上がりそうにない。

【追記】
 元の新聞記事は、「(滞納者に対して規則で定められている登学の停止や除籍の可能性を伝えて督促するのならかまわないし、払わなければ警告通りに実行してもよく、また少額訴訟による回収でも構わないが、規則にない)卒業証書を出さないという回収の仕方は(規則に無いため恣意的な)嫌がらせになるから不適切」と読むべきだということになる。つまり、校長は、主観的には規則や法に定められた内容よりも穏当な督促をしたつもりであったかもしれないが、客観的には嫌がらせになってしまう可能性があるということになる。

【追記】
 なお、法解釈の問題として、教育基本法や児童の権利に関する条約のような一般的条文から、校長が具体的にどのような行動をとるべきかという具体的行為規範を導けない。本件の校長の行為が規則違反であったとしても、それが教育基本法に違反するという解釈は、通常の法解釈の常識からは出てこない。この点についても、法匪さんの指摘に同意する。一般的条文がただちに具体的な請求の根拠になるという主張がトンデモ法解釈だという見解について、私も同意見である。

【さらに追記】
 昨今の景気の悪化で、貧困の広がるスピードが想定よりも早すぎるために援助が追いつかなくて授業料未納になるケースについては、援助の枠を増やすように行政に求めるという方法で解決する問題だろう。未納を現場の温情的措置で見逃した場合、その分は結局税金で補填することになるが、それは形を変えた補助である。現場で恣意的にこれをやると、今度は、補助の基準が一律ではなくなるという別の不公平が発生する。それならば、最初から、必要な人に援助が届くように基準を決めて対応する方が良い。払えないものを払えというのは無理だし、個人の努力では挽回できないほどの格差を放置するのはよろしくない。経済的事情に応じて教育費を援助するというのは、セイフティネットの一つの在り方だろう。

あ~、あ~、只今リンクのテスト中……

Posted on 3月 9th, 2009 in 倉庫 by apj

 amazonへの画像付きリンクを作るブックマークレットのテスト。ソースはここ。私の環境である、Safari 3.2.1では、制作者さんのリンクからブックマークとしてスクリプトを保存することができない。FireFoxなら可能。

 ということで、以下、画像付きリンクのテスト。
amazonのページを表示させて、FireFoxでスクリプトを実行、出来たリンクをコピペ。

複雑訴訟の基礎理論 (学術選書 20) (単行本)

 うまく表紙画像が出れば成功だけど……って出てる。でもいささか大きすぎる(width=160)ような。

複雑訴訟の基礎理論 (学術選書 20) (単行本)

 このくらい(width=100)がちょうどいいかな。
 しかし、上の画像は最初から斜め向いて写真を撮った感じで、立体的な存在感がある。他の大多数のamazonの画像は表紙を正面からスキャンしたような画像だから、イメージもだいぶ違うはず。

 こちらは、最初からやや小さめに取り込まれたらしい画像をwidth=160で表示。

民事控訴審の判決と審理 (単行本)

 width=100だとこんな感じ。

民事控訴審の判決と審理 (単行本)

 普通に取り込まれた画像がくっついている本を紹介するときも、width=100を指定するので良さそう。

 本の選び方がアレなのは、「もういくつ寝ると控訴審……」などと思いながら書いていることによる。

Where……中学生の英語

Posted on 3月 9th, 2009 in 倉庫 by apj

 何となく思い出したのでメモ。

 中学生の頃に、英語の授業で「where did you come from?」といった一連の言い回しを習った。そうすると、外国人を見かけると「where did you come from?」と言いたがる中学生が私の周りでも激増していた。すると、それはそれで訊かれる方にとっても奇妙だろうし、ソレばっかり訊くのは場合によっては失礼だろうという評論を書いた人がいて、どこかで読んだ記憶がある。また、居住地を訊くとしたらwhere do you live?だし、という話もあった。当時の英語の先生も同じようなことを言ってたなぁ。
 ここまでが前振り。

 10年ほど前に、夏前にグラナダの国際会議に出かけたわけだが、これが日中はとても暑かった。地中海性気候で湿度は低い(というか人為的に水をやらないかぎり植物はまず確実に枯れそう)のだが、昼間は40℃超くらいになる。東京の、30℃超で湿度が高いのも不快だが、からっとして40℃超というのも結構きつかった。街を歩こうとしても、日光に照らされているだけで目の前が暗くなってくる。街角にはそこかしこに日陰があるので、日陰の部分を経由して休みながらでないと動けたものではなかった。私は特に暑いのが苦手であった。

 で、会議場で暑くてたまらんと英語で愚痴ってたら、殆どの人は同意してくれたのに、来る前に居た場所の方がもっと暑かった、こんなの大したことはないノープロブレム、とのたまった奴がいた。
「where did you come from?」
 訊きたくもなるわな。もっと暑いっていうのはどのあたりのことなんだろう?と。
 ブラジルの熱帯に近いところから来たヒトでしたorz。あのへんは、気温が高い&湿度も高いの二連コンボだから、湿度が低くて高温なだけのグラナダは過ごしやすいのだろうと納得。熱帯雨林にKOされた気分にはなったけど^^;)。