Feed

究極の血液型心理検査

Posted on 9月 13th, 2006 in 倉庫 by apj

 実験してるところを見損ねたのだが、なかなか面白い内容なのでメモがわりに。「究極の血液型心理検査」が過去に掲載されていたサイトより。

<お知らせ>
このアドレスには「究極の血液型心理検査」というサイトが掲載されていました。

「小説『ブラッドタイプ』の中で用いられた原理に基づく、9割近くの人が『当たっている』と信頼を寄せるサイト」と紹介されていました。

上記紹介文に、間違いはございません。

97日間のサイトの訪問者数はのべ4,835,812人、うち心理検査後に「当たっている」と回答された方は4,326,342人です。
(※途中で操作を中断せず、最終ページまで到達された方に限り算出しております)

サイトの最終掲載日、2006年9月11日迄に、ブログなどで「当たってる」と紹介されている記事を見かけた方も多くおられたことでしょう。

アメーバブログのクチコミでも1位になりました。

なお、このサイトには英文で「バーナム効果による」という注釈もついておりました。

上記結果が、何を表しているのかお知りになりたい方は、この下をご覧ください。

血液型で性格は変わりません。
血液型性格分類は、科学的根拠のない迷信です。

「究極の血液型心理検査」の結果表示は「時刻ごとに変わるランダム」でした。

血液型とはなんの因果関係もございません。

小説「ブラッドタイプ」では、同じ方法で「8割以上の人が当たったと信じる心理検査」が描かれています。

当サイトでは、そのシステムをそのまま用いました。
そして、現実に試した結果は「9割近くの人が当たったと信じ」ました。

グーグルで「究極の血液型心理検査」をお調べになると、9月11日以前には多くの人が「当たった」とおっしゃっていることがわかるでしょう。

ブログにお書きになった皆様。申し訳ありません。しかし、皆様は、間違っていたわけではありません。

もともと性格は一元的ではなく多面的なものです。

あの結果表示は、必ず性格の一部に当てはまるようになっています(当たっていないと信じようとすれば、これまた当たっていないと感じます)。それがバーナム効果です。

小説「ブラッドタイプ」では、血液型性格分類は「月の錯視」と同じぐらい強力な錯覚だと書かれています。

月が地上に近いほど大きく見える、わかっているのにそう見えてしまう…

血液型で性格が変わるという迷信の根深さも、それだけ強烈な錯覚だからです。

「統計で多くの人に錯覚が起きると証明されたからといって、血液型性格分類が否定されたことにはならない」とおっしゃる人もいるでしょう。

しかし、ならばそれらの人は、なぜ信じているのですか?

 何て言うか、ネットならではの実験だな。400万人超で当たってるかどうかを多数決で決めても、主観でやると錯覚が生じるという結果は凄い。客観的な調査が何故必要かを説得する理由になりそうな。


ここからは旧ブログのコメントです。


by TAKESAN at 2006-09-06 08:40:06
Re:究極の血液型心理検査

今晩は。

うーん、これは面白いですね。このサイト、血液型性格判断について調べていて見つけ、胡散臭いな、と思って三秒で閉じたのですが、まさかこんな仕掛けがあったとは。ちゃんと見れば良かった…。


by apj at 2006-09-45 09:11:45
Re:究極の血液型心理検査

 この手のサイトの場合、種明かしを先にしてしまうとテストになりませんからねぇ。


by 白のカピバラ at 2006-09-22 10:44:22
Re:究極の血液型心理検査

以前、バーナム効果だよーという記事を blog に書いたものです。
大まかな点では同意なのですが、性格は「社会的に作られるもの」なのではないでしょうか。スタンフォード監獄実験でしたっけ。効果がないというよりも、どれくらい踊らされている効果があるのかを調べたいなと思います。


by apj at 2006-09-54 10:58:54
Re:究極の血液型心理検査

 性格が社会的に作られるものであったとしても、ランダムに提示された性格が自分に当てはまっているという「自覚を持ってしまう」かどうかはまた別の話ではないでしょうか。

1)自分の血液型はこういう性格だとされている、という俗説を信じた
2)その方向で自分は行動するし、友達からも同じようなことを言われる
3)結果として、**型の性格、っぽい方にずれるかもしれない
 こういうことがどれだけ起きるかというのが、「踊らされて変わった効果」ですよね。

4)完全にランダムに提示されたものを、自分に当てはまると認識する
 は、「踊らされる効果」だけを取り出しているようにも見えます。


by kkojima at 2006-09-33 17:40:33
Re:究極の血液型心理検査

残念ですね。9月11日以前に見てみたかった。「ランダムに提示」とありますが、世間一般での「血液型心理検査」では、ある程度の方向性がありますし、信じられているのもそのパターンなので、ランダムに提示されたら、そういったイメージに照らして違和感を感じるようなものもあったのではないか?だとしたら、そういう項目があっても、それでも「血液型心理検査」は当たっていると感じるというのは、何故なのか、という疑問が湧いたためです。バーナム効果というのを勉強すればある程度想像がつくのかな?


by 柘植 at 2006-09-18 20:10:18
Re:究極の血液型心理検査

こんにちは、kkojimaさん。

>一般での「血液型心理検査」では、ある程度の方向性がありますし、信じられているのもそのパターンなので、ランダムに提示されたら、そういったイメージに照らして違和感を感じるようなものもあったのではないか?

バーナム効果の中で説明出来ることではあるのですが、基本的には、この種の診断が「相反する2つの事をどちらも書いている」という事です。そして、その診断を受け取る方が、自分のもつ自分のイメージに合う方を強調して受け取る訳です。

例えば世間に「B型はおちょこちょいで、A型は落ち着いている」というイメージがあったとしますね。もともと人間は多面的ですからバーナム効果の発揮される診断は多面的に書かれるわけです。「あなたは落ち着いて見えますが、自分にはおっちょこちょいの部分があると思っています」という風にです。でもって、「自分はA型だから落ち着いている」と思っている人はこの診断の「落ち着いて見える」を重く受け止め「部分がある」は「少しはある」と思いますから違和感は出ません。一方「自分はB型だからおっちょこちょいだ」と思っている人は、この「部分がある」ところを強調して「そうだよな、あるんだよな」と思いますから、やはり違和感は出ないわけです。


by すずきひろのぶ at 2006-09-41 01:47:41
Re:究極の血液型心理検査

> 完全にランダムに提示されたものを、自分に当てはまると認識する

それってロールシャッハテスト、つまり 性格検査の投影法じゃないかな。自分のなりたい姿・自分がそう見られたいという願望を投影しているんでしょうなぁ。踊らされている以上のものが本当はそこにあるんだろうけど、被験者のフィードバックのメカニズムがないから、結局、わからんということで。


by みつを at 2006-09-49 22:55:49
Re:究極の血液型心理検査

雑誌とかに載っている占いの8割はこれなんでしょうね。


by あがたし at 2006-09-21 14:10:21
Re:究極の血液型心理検査

いまみたら,掲載されていたテストが再掲されていますね

http://www.senrigan.net/bloodmind/

といっても,「現役」当時のテストをみていないので本当に同じかどうか分からないですが・・・

とにかくいろいろ考えさせてくれるサイトですね.


by kkojima at 2006-09-50 07:09:50
Re:究極の血液型心理検査

再開されたようで(種明かし付き)したので、やってみました。
(あがたしさんありがとうございます)

なるほど、種明かしにもありましたが、柘植さんの言っているように、世間一般の血液型に対するイメージとは別に、うまく、「相反する2つの事をどちらも書いている」ようですね。柘植さんには丁寧な解説をいただき、ありがとうございました。

普段、自分の血液型でまわりから言われているような話とは一致していないんですが、あれだけ大量の言葉が返ってくれば、そんなことは気にならなくなるという感じでした。

実際には本の販促サイトなんでしょうけれど、良い経験ができましたというところです。