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山辺町立鳥海小学校・中中学校で講演

Posted on 11月 16th, 2008 in 倉庫 by apj

 山形県内の山辺町立鳥海小学校・中中学校で講演で、科学リテラシーについて講演。
 山の上の方にある小さな学校で、体育館をはさんで小学校と中学校の校舎が隣接している。理科室、音楽室、技術室、家庭科室、運動場などは小中で共同利用。1学年の人数が3人とか4人なので、小学校の教室は、1,2年生、3,4年生、5,6年生に分けて3つしかない。
 毎年、近くの田を借りて田植えをして餅米を作っていて、今日はその収穫祭のイベントだった。講演は、学校近くの公民館で午後からなのだが、校長先生に、収穫祭にも参加しては、と誘っていただいたので、午前中から見せていただいた。
 私が行った時は、PTAや地元のおじさんおばさんたちが学校に集まり、湯を沸かして米を蒸し、餅つき作業に入るところだった。何でも、今年は草が大量に生えて、草取りが大変だったそうで……。体育館に集合して、餅と雑煮をいただいた。餅は、小豆あんをまぶしたものと、納豆をまぶしたものと、ずんだの粉をまぶしたものが出た。他所では大豆のきなこを使うところが、山形ではずんだの粉になっていた。また、納豆と混ぜた餅を食べたのは生まれて初めてだったが、よく合っていて美味しいので驚いた。
 生徒さんたちはみんな楽しそうだし、地域の人達が協力的で、学内外が一体となって教育に関わっていることがわかった。街の大きな学校ではなかなか難しい部分が実現している。
 春からずっと稲を育てる努力をしてこられたところ、私は結果としておいしいところだけ参加したようで少々恐縮なのですが……ごちそうさまでした>皆様。

 講演内容は、水からの伝言とゲーム脳について、教育現場に入り込むニセ科学の例として話をした。その後、科学はなぜ必要か、といったことを簡単にまとめた。小学校1年生から中学校3年生までと、保護者や先生方が対象なので、普段よりゆっくり話をしたり、スライドにふりがなをつけたりといった対応をした。でも、小学校低学年には難しい話だろうなぁ^^;)。

 先生から、「道徳の説明で、”蜘蛛の糸”を例にしたり、”ウソをついたり悪いことをすると地獄に行くよ”と言ったりするのは、科学的に立証されていないからいけないのか?」という質問が出たので、「例え話であるとはっきりわかるのなら問題がない」と答えた。「蜘蛛の糸」で起きたことが科学的に立証されたからあの話は正しいとか、地獄に行くことが測定してわかったからウソをついてはいけない、などと言えばたとえ話の範囲を逸脱してニセ科学になってしまうが、常識的に考えて、科学と誤認するような内容でなければ、ニセ科学として問題になることはない。また、「水からの伝言」は「科学的に立証されていない」というものではなく、大した根拠もなしに「通常の科学を広範囲に全否定する内容」だから客観的にまずい。一方、たとえ話がたとえ話である限り、科学を広範囲に否定する効果は通常は発生しないから、その意味でも問題はないので、あとは、内容が道徳として適切かということだけ考えればよい。