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「科学では解明でき(てい)ないこともある」に慎重になってほしい

Posted on 11月 11th, 2008 in 倉庫 by apj

 日曜日のニセ科学フォーラムで田崎さんの話をきいて、今日、共通教育で学生にも話をして、さらにこのへんのコメントを見て。
 「科学では解明でき(てい)ないこともある」という主張をすることについて、慎重でなくてはならないのではないか。
 
 文字通りに読めば、単なる事実を述べたに過ぎない。およそほとんどの科学者も科学者でない人も同意するに違いない。問題は同意の中身に大きな違いがあるということである。違いの一方の端あたりで、この主張はしばしば、トンデモな説や明らかに間違った説を主張する人達が使っている。このため、不用意に「科学では解明でき(てい)ないこともある」を主題にして議論すると、斜め上の方向に利用される可能性が高い。
 『「科学では解明でき(てい)ないこともある」は、あなたにとって都合が良いが科学とは相容れない何かについて正当性を持たせるためには利用できません』と、但し書きを付けるくらいでちょうどよいのではなかろうか。あるいは、『「科学では説明でき(てい)ないこともある」けどあなたの主張は科学自体を広範囲に否定するものだから、説明できないってレベルじゃないし』というのでもかまわない。

 既存の科学を根拠無しに否定する内容が、「科学では解明でき(てい)ないこともある」というごまかしを使って、既存の科学と併存することが許されるかのようなフリをしているのであれば、やっぱり面と向かって違うと言うしかないだろうし。たとえば水伝とか。