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不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

Posted on 2月 25th, 2006 in 倉庫 by apj

 「大学教員の日常・非日常」の最近のエントリーで、「楓の教員日記‐大学で働くということ」を知った。
 任期付きの仕事は私もやってきたのだが、そのことを踏まえると、楓さんの大学も無茶をしているというか使い捨てる気マンマンに見える。楓さんももうちょっと先を読んだ方が幸せになれるんじゃないかというのが正直な感想である。楓さんはいろいろトラブルに巻き込まれて大変そうなのだが、それでも外部から見るとどう見えているかということを書いてみる。

 まず、仕事の内容が「国際交流・協定に関わる業務全般」で任期付きだということが危険信号である。研究者は論文が出てナンボであり、次の仕事を探すにしてもまず業績がモノを言う。業務的な仕事は論文にならないから、それを任期付き、つまり次の仕事を探すために業績が必要な人にさせてはいけない。任期なしの職員がやるか、研究者としてのキャリアパスを歩まないアルバイトを雇ってやらせる仕事である。どうしても業務をしなければならないなら、採用のときに交渉して、どこまでなら業務をやれるか、あらかじめ線を引くのが身を守る唯一の方法である。このためには、専任になるより非常勤を選ぶ方がよい。専任だと線を引くことが難しくなる。まあ、タフ・ネゴシエーターであれば何とかなるかもしれないが……。楓さんは既に専任になってしまっているので、身分の違いを前面に押し出して可能な限り業務と研究の線を引くしかないだろう。「自動的にクビにならないオマエらとは立場が違う」と徹底的に言いまくってみたらどうだろう。
 最初の方のエントリで、楓さんは

このポストはウチの大学では新しい試みなので、ある意味私がローモデルになる可能性が大なのだ。つまり、私が業務もバリバリこなし、そして次々に論文を世に生み出していけば、ひょっとすると「その先」があるポストになるかもしれない。

と書いているが、これがまさにそういうポストを作った側の狙いではないか。もし、任期を終えた時点で楓さんの業績が足りなかった場合、楓さんの次の就職先は無く、このポストは「業務内容はそのままで若手研究者を使い捨てるのに最適なポスト」として残りそうである。楓さんのやったことが前例となるのなら、研究と業務の線引きをして、研究に専念できる環境を確保する方向で動いた方がよい。偉い人達がそのことを気に入らなければ、業務をするポストと研究や教育をするポストを分けるようになるだろう。
 次に、楓さんは、採用時にプッシュしてくれた先生の恩義を感じているようだが、そういう感情はこの際全て捨てることだ。プッシュする側はそれなりの利害と見識でやっただけのことであり、仮に楓さんが思惑通りに働かなかったとしても、それは単にプッシュした側に見る目が無かったというだけの話である。責任は全面的にプッシュした先生にある。もちろん、恩を仇で返せとは言ってないし、意図的に足を引っ張るようなことをしてもいけない。ただ、自分の行動を決定するときの判断のファクターにプッシュしてくれた先生の事を入れてはいけないという意味である。そうでなければ、意志決定を間違える可能性が上がる。人間関係が錯綜している場合はなおさらである。
 あとは、「周りが責任転嫁をするようであれば自分がババを引く必要はさらさらない」と割り切ること位か。プロジェクトが失敗しようが、誰がドジを踏もうが、やった奴が誰の目からも明白であるように、証拠を残しておくとよい。若手に言いがかりをつけたり責任転嫁したりすれば、やった奴の命取りだと知らせるのが一番よい。任期付き=スケープゴートの最有力候補、の側面があるということを肝に銘じておくべきだ。任期付きの人間が任期なしの身分安泰な奴のフォローなんかしようと思うのが間違いである。自分の将来を守るのが最優先事項である。


ここからは旧ブログのコメントです。


by mnr at 2006-02-02 23:26:02
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

すごい生々しいです・・・

なんて研究者は不憫なのでしょうか。

これもすべて大学で博士を増やしまくった結果でしょうね


by apj at 2006-02-55 09:58:55
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

 もっと不憫だと思うのは、誠実で優等生だった人から先に潰されていくという現実なんですよ。私の寮時代の同窓生(女性)ですが、博士号をとってバイオの研究者の道を歩んでいたのに、業績が順調だったために同僚の男性にねたまれたのか、怪文書をばらまかれて精神的に追いつめられて結局研究をやめました。私なら倍返しというか、さっさと裁判所に駆け込んでぶちのめしてるところですが、疲れて気力が無くなるとどうにもならないようです。理研のバイオ系でした。
 つまり、外から理不尽な嫌がらせをされたとき、これまで先生や上の人の言うことをよく聞く素直な優等生だった人ほど「こんなにされるのは自分にも悪いところがあるからでは?」と思ってしまい、自分を追いつめていくんですね。「100%テメェが悪いんじゃゴルァ!」と戦闘モードに入れる人なら、そこで潰されずに済むんですが……。


by みつを at 2006-02-43 10:42:43
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

実社会はやさしい人もいますが、そうでは無い人も沢山いることを、最近身をもって知りました。自分のことは、自分で考えて身を守らないと。

別に大学に限ったことではないです。


by chem@u at 2006-02-28 10:56:28
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

・・・どんよりとした気持ちになりました。私もブログを始めて色いろみて回るようになって、教授に苦労している方がこんなに多いんだ、というのが正直なところ。
楓さんのケースも、ちゃんと日記でも何でも記録残して、メールのやり取りで積極的に証拠残して、パワハラでもアカハラでも、表に出したほうがいいんじゃないかと思います。内々だと、協調性が無いとか何とか言われるだけで、若手が使い捨てになって終わりという将来が現実的に見えてしまいます。


by apj at 2006-02-44 11:51:44
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

「テーマつぶれてしもたがな」http://atom11.phys.ocha.ac.jp/front/theme.html
ってなコンテンツを公開中です。博士課程で既に教授ともめました。

 一昨日は、「ついた教授が磁気処理水&インチキ水クラスター理論マンセーだ」という嘆きのメールをもらったばっかりだったり。

>パワハラでもアカハラでも、表に出したほうがいい
 陰謀や小細工がてんこ盛りで人間関係が錯綜してる場合は、堂々と正面突破するのが案外有効だったりしますよねぇ。


by 名無し工学者 at 2006-02-48 02:03:48
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

最近の組織は若い人を利用することだけ考えて育てることを考えない。
そのクセ直ぐに「最近の若い連中は(ry」と言い出す。

任期制度も上手く運用すれば人材育成に繋がるのだろうが、組織は積極的に人材育成制度として利用しようと努力しているように見えない。
若い研究者が育ってないと感じるなら育てる環境を作ることが管理職の責任というものだろうに。

世の中全体に「無責任」が蔓延しているキガス


by apj at 2006-02-14 05:07:14
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

 任期付きのポスト自体が場当たり的発想で出てきてますから。

・学振や理研の基礎特研
 一定期間自由に研究させることが目的だが、それが終わった後の任期なしポストの数は圧倒的に少なく、問題の先送りになってるだけ。自分で企業にコネでもつくればその先何とかなるかもしれないが、相でなければ従来型のアカデミックな研究に専念するから、即戦力からは離れる一方である。
・任期付きの助手や講師(VBLなど)
 任期付きにするのが流行だったり、中期目標に書いたからだったり、ポスドクの数の多さに押されてそうしてみただけ。はっきり言って大学側にとっては任期なんてどうでもよかった。学振と同様に、「大学でのキャリア」を積ませるものになっているから、アカデミック分野以外の即戦力養成とは逆にしか働かない。任期付き助手が大学運営から手を引いて自分の保身のための研究業績確保しかしなくなったりして、学生へのサービスは確実に低下中。
・COEやその他プロジェクトにくっついた任期付きポスト
 国が望ましいと思ったプロジェクトを進めるための人手を臨時に確保したかっただけ。その先どうなるかはそもそも考えていない。特にCOEはひどくて、COEの仕事をどれだけやってるか調べたら、やってないポスドクがいっぱい出てくるはず。これも結局は大学内の仕事だから、アカデミック向けの経験しか積めない。
・アカデミック以外の任期付き職
 既に「派遣」って名前で使い捨てが始まってますがそれが何か?

 人材育成なんて最初から考えずに任期付きポストを作ってるから、そもそも無理じゃないかな。それでも育つ人は育つ。じゃあ従来の研究室で若手が育ったかというと……育ったのはその年代のごく一部だけでしょ。研究への向き不向きはあるし、昔から自分でオリジナルなことができるのは、その年代のごく一部で、その割合は変わってないと思います。今は、進学する必要がない人まで政策的理由で定員増になった大学院へ行っているということです。じゃあどうして定員増になったかというと、当時の文部省がそう煽ったからなんですね。
 ついでに言うと、どう見ても博士に進学しない方がいい学生でも、進学やめとけなんてうっかり言うと「アカデミックハラスメントだ」と逆に教員が叩かれるから、何も言わずに進学させてるんじゃないですかね。するとあとは、業績出せずに自滅するか、最低限修了できるだけの指導をしても、そこで食いついて自分から伸びればいいけど、そうでなければ修了後に職がないといった形でやっぱり自滅するだけになる。Dの途中で挫折する人って結構居ますし、ポスドク渡り歩いている間に無職になる人もそれなりの数いますし。


by apj at 2006-02-56 05:13:56
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

 もっと言うと、アカデミックで任期付きの職を増やして従来の大学にあるアカポスの数を増やさないというのなら、「ポスドクによる大学設置」がどんどんできるような規制緩和が必要だし、助成金の面でもそちらに金を流すことまでしないと無意味でしょう。増えたポスドクが大学をつくって、自分を採用しなかった旧来からある大学とパイを奪い合って相手を潰すところまでいけば、今の大学だって真剣になって、教育と研究のレベルも上がるんじゃないですかね。学生が来なければ大学は終わりですから。今のままだと単なる縮小均衡に向かうだけじゃないかと。


by 名無し工学者 at 2006-02-35 08:25:35
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

縮小均衡すれば、制度を作った人達は「あの混乱は過渡期だったから。やっと機能するようになった」と誤魔化しそうな。それが「お役人」という人種です。


by フラスコ at 2006-02-27 20:47:27
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

トラックバックありがとうございます。

このエントリに、このアドレスを残しておくのは有益かと思いコメントさせていただきました。

NPO アカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク
http://www.naah.jp/


by しげみ at 2006-02-57 21:49:57
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

わたしのところでは常勤職の任期制への移行の背景には、ラボのトップがかわっても前からずっといるスタッフが、新しく赴任したLab headと全く話し合おうとせず、一つの研究室内で独立して別の研究室を作ってしまうような形になるケースが何件か見られたことが直接の引き金になっていると思います。例えば、「ヒトの、顔の、神経」の研究をテーマとする教授が「ねずみの、足の、骨」の研究をしている助手がいる研究室に着任し、教授が、全面的にテーマを変えてくれとは言わないけど、たとえば「ヒトの、足の、骨」「ねずみの、顔の、骨」とか、なにか一つくらいは妥協してくれないと、研究室としての一体性がない、と言ったのですがまったく聞く耳を持たなかった、というような状況だと聞いております。
こういうケースを基に考えると、常勤スタッフに関しては、日本のラボヘッドは、多くの場合、任用に関してはかなり権限がありますが、くびにする権利はないので、くびにする権利を手にしようとして任期制が広まったのだという風に思われます。


by 元合成屋 at 2006-02-03 00:31:03
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

CREST研究員を渡り歩いて、現在有期助手をやっている私には、今回のお話は、痛いところ満載です。

実績がないと職種を選べない、選べないと不利な条件になる、不利な条件になると実績がでない、という悪循環が起こりがちなのが問題ですよね。

それと、往々にして、ボスは所謂「1流雑誌」にしか投稿するつもりがないので、結果が出ても論文にできないことが多いのが困りました。

結局、ボスの方々が学生だった頃の大学事情と同じように対処しているのが問題の根幹のように思います。


by apj at 2006-02-08 04:29:08
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

>ボスの方々が学生だった頃の大学事情と同じように対処している

 まさにその通りですよね。ボスが院生や下積み助手をしていたころは、理不尽な使われ方をしても、冷や飯を食わされても、追い出されることは滅多になく、それなりに耐えていれば多くの場合は昇進という見返りがあったわけです。ところが、今の下積みポストは一定期間で強制的にクビの上、見返りとなるはずのポストは希望者に比べて圧倒的に少ないわけで、理不尽な仕打ちに耐えたところで、見返りはほとんど期待できない状態となっているんですよ。

 どうすればいいんですかね。非常勤の職の人間だけで分野横断して強力な労働組合を作るのがそこそこ効果的な気もしますが、そういうことに疎い人たちばっかり育ってるように見えます。アカデミックのキャリア云々を言っても所詮は一労働者、ということに全く気づいてないのか、そう考えるのに抵抗があるのか、よくわかりません。ただ、今のこの状況が政策的に誘導されて作られたものである以上、政策的に解決するのが一番早いようにも思います。
 パートタイマーや派遣のユニオンって、世間にはあるんですよねぇ。東京都は非常勤の教員(多分、義務教育から高等学校、高専、大学まで)の組合がありましたけど。ポスドクのユニオンってきかないなあ……。


by apj at 2006-02-02 04:42:02
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

 ちょっと論理が飛躍してるようなので補足。
 ボスが下積みの頃は、徒弟制度モデルで人材養成が行われていて、そこそこうまくいっていた。そういう時代なら、ドライな雇用関係を表に出す必要もないし、出しても却ってマイナスだった。
 ところが人材流動化だのポスドク何万人計画だの大学院重点化だのを進めた結果、徒弟制度モデルで人材養成ができなくなり、雇用も保てなくなった。そうなると、むしろ労働法的な雇用関係を前面に出して、一般企業と同じにやることを考えた方が全体の幸福に結びつくのではないか?という意見です。


by 元合成屋 at 2006-03-40 06:31:40
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

apjさんのご意見には全く同感です。
雇用関係を確りして、契約違反はしない、させない、という一般企業方式は、ポスドクの身分の保証の第一歩だと思います。

例えばCRESTなどでは、ボスが雇用に対して大きな権力を持ち過ぎるというのは、問題だと思います。雇用の可否から給料の額までボスに裁量権があり、科学技術振興機構では契約書を作成するだけでは、結局、ポスドクはボスの奴隷であり、雇用契約に違反しようが、労働基準法に違反しようが、ボスの意向には逆らえないというのが現状ですから。基金を出す方は、実績以外にも、そう言った状況に注意を払うべきなのではないかと思います。

将来の展望どころか、来年のポストを心配しながら、サイエンスやネイチャー級の結果ばかりを求められる研究をするのでは、日々生き抜くことばかりに気を取られて、将来の自分の研究テーマに考えをめぐらせるヒマなどないのではないかと思います。


by いよかん at 2006-03-40 02:08:40
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

楓さんのブログから飛んできました。

>>このポストはウチの大学では新しい試みなので、
>>ある意味私がローモデルになる可能性が大なのだ。
>>つまり、私が業務もバリバリこなし、そして次々に論文
>>を世に生み出していけば、ひょっとすると「その先」が
>>あるポストになるかもしれない。
>
>と書いているが、これがまさにそういうポストを作った側の
>狙いではないか。もし、任期を終えた時点で楓さんの業績
>が足りなかった場合、楓さんの次の就職先は無く、この
>ポストは「業務内容はそのままで若手研究者を使い捨てる
>のに最適なポスト」として残りそうである。

・・・楓さんと私と、よく似た状況なんですが、apj@さんのご意見、深く胸に刻んで仕事にのぞみたい思います。

一週間ほど前から、私も自分の業績(論文執筆)一本やりの生活に変えました。もちろん、業務は行いますが、定時には仕事を終えること、過剰なサービスは提供しないなど、割り切るようにしてます。

配属されてきて間もない某若手事務員が、何故か最近突然変異して、わざわざ別室の私の部屋に来て「**大学のHP検索して!」とか私を個人秘書のごとく使ってくるのに困り果て(エクセルで四則演算もできない文系修士号保持職員なんです!)、論文一筋に方向転換しました。

最低限の仕事はしますが、それ以上はお断りです。(定時ジャストに「今から、読み合わせしましょう!」とかシラバスもって来たりされます。。。大体わたし、事務職じゃないのに!)

論文は私個人の業績になるんだし、5時から女に徹してがんばりたいと思います。


by apj at 2006-03-31 03:48:31
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

 いよかんさん、はじめまして。
 最近、楓さんのところの更新がないのでちょっと心配です。年度末のゴタに巻き込まれてなければいいんですけど……。
 どうか、自分が生き残るには何が大事かを最優先に考えて仕事をなさってください。何だか、最近のポスドク(私自身もそうだった時代も含めて)の置かれている環境を見ていると、全員で争わせて「最後に立っていた者が勝利者」という選別がかかっている気がして仕方がないんです。小説や漫画の陰陽師の話に出てくる呪法の「蠱毒」を連想してしまう。壷に閉じこめられて争わされる側にとってはとんでもないわけですが、それでも生き残りを考えると、自分の利害を最優先にするしかないように思います。
 一番怖いのは、「パトラッシュ、僕もう疲れたよ……」状態になることですよね。体力と気力が最後には物を言うのかもしれませんが、めげずに生き延びてください。身分が不安定な場合、エゴイストになることは恥でありません。当然の権利だと思ってちょうどいい位ではないでしょうか。無事にいよかんさんの目的を達成されることを祈っています。


by いよかん at 2006-03-51 05:09:51
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

 楓さんのこと、本当に心配ですね。。。

>全員で争わせて「最後に立っていた者が勝利者」という
>選別がかかっている気がして仕方がないんです。

 ウチみたいな最近のし上がってきた大学は、まさにコノ方式です!

 私の場合、無我夢中でやってきたら、何となく大学に残っていた・・・という感じですが、ここからはガムシャラなだけではだめだと、生き残りを意識せざるを得ません。

>一番怖いのは、「パトラッシュ、僕もう疲れたよ……」状態
>になること・・・

 実は、三回うつ病にかかってます。でも、それでも研究(私がやっているような事を研究と呼ぶとしたら、ですが)が楽しくて、どん底気分から毎年這い上がってきて続けています。

 やりたい事をやり続けるために戦わなければ(?)ならないのなら、戦います。タフ・ネゴシエイターにもなります。エゴイストにも、必要最低限の仕事しかしない人間にもなります。

 人から悪く思われても、構いません。研究を続けていけるよう、抜かりなくガンバリたいと思っています。


by やりがいの搾取から逃げて at 2007-02-59 06:35:59
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

私としては『任期付き、非常勤アカデミックポストの人は
追い詰められる前に早く逃げて』って、言いたいです。

以下はコピペです。

——

【自己実現という罠】
<やりがい>の搾取――拡大する新たな「働きすぎ」
  本田由紀 (東京大学)【執筆者からのメッセージ】
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2007/03/directory.html

>〈やりがい〉があるように見える仕事とは、実は低賃金や
>不安定な雇用であるにもかかわらず、きわめて長い労働時
>間やエネルギーを労働者から調達しようとするために、巧
>妙にしくまれたものであるかもしれないのです

——

フレキシブル(流動的)な労働市場」において、1カ所の職場にとどまり、そこで自己実現を果たそうと願うことは、自らの可能性を必要以上に限定する半面、いつでも解雇・失職の危険が身に迫っているという点で、「大きなリスクを背負うことであり、心理的、感情的な破滅の原因でもある

不安定な労働条件のもとで一生懸命に働く若者に対しては、「今の仕事を続けるのはほどほどにして次の転職先のことも考えるべきだ」というアドバイスが必要であろう

自分たちの仕事が低賃金で不安定であることなど、彼ら自身もじゅうぶん分かっている。だから、私のような部外者からそれを指摘されると余計に腹が立つ。しかし、分かっていても、目の前にいる利用者のために粉骨砕身して働いてしまう。待遇は変わらず、肉体と精神だけが疲弊していく……

http://v000085201.securesites.net/ronza/story/200610_2.shtml


by apj at 2007-02-37 10:34:37
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

やりがいの搾取から逃げて、さん
 情報ありがとうございます。「世界」3月号は読む必要がありそうですね。入手しようと思って、帰りに本屋に寄ったのですが売り切れていました。別の本屋を探してみて、無ければ取り寄せようと思います。

 以前、教師を目指しつつ家庭教師バイトをやっている後輩が「生き甲斐とかやりがいなどを積極的に見つけていけるようにしてあげたいのに、教え子の方はさっぱりその気がない」などとぼやいていたことがありました。「目立った生き甲斐とかやりがいとかそういうものを追い求める積極的な行動なんかしなくても、平凡に平穏に暮らして行ければいいし、世間としてはむしろそっちが多数派ではないの」ってなことを話したのを思い出しました。その時は、まだ搾取のことは意識していませんでしたが、生き甲斐と仕事が一致するのはごく一部の人だけだろう、普通の人は生活のために、苦にならない(というか絶対嫌ではない)仕事をしているものだよ、ってな話をしていました。


by う~ん。 at 2007-02-45 22:53:45
Re:不安定な身分だからこそ自分の身は自分で守れ

構造的に似ているのではないかと思った次第です

>バイトや家族・パートナーが頼みの綱の膨大な「負け組」アーティスト。芸術を消費することでステータスを高める「上流階級」と何となくそれを仰ぎ見る「下流階級」。この差は何だ!?芸術を媒介に明かされる較差社会のメカニズム!
http://www.amazon.co.jp/gp/product/product-description/4903341003/

>芸術家は概して貧しい。それは第一に、芸術家が必要以上の金を求めていないからであり、第二に、その志望者が多すぎるからだ。芸術家への助成を増やすと、もっと志望者が増えるだけである。
http://d.hatena.ne.jp/kagami/20070226#p2