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「日本沈没」ならぬ……

Posted on 10月 20th, 2007 in 倉庫 by apj

 日本爆発、ネタだった。講談社ノベルスの「死都日本」石黒耀著。九州南部が大噴火して壊滅して、日本中が灰に覆われる話。

風邪の咳が長引く体質だったのだが……

Posted on 10月 19th, 2007 in 倉庫 by apj

 今回も例によって軽い風邪の後1ヶ月以上咳が止まらなくなって、病院で抗生物質と咳止めをもらってきて1週間飲んだが効果無し。今日から向こう2週間は喘息の治療に切り替わった。飲み薬と吸入する薬の2種類をもらった。
 高校生の頃から、風邪をひいて咽から気管支のあたりの炎症で咳が出始めると、必ず右側の気管支のあたりに痰がからんでしつこく治らないクセがあったのだが、あんまり長引かせることを続けていると咳喘息に移行することがあるらしい……。今回もおかしいのは右側だけで、どうせ風邪に効く薬なんか無いし、暖かくしてちゃんと食べて寝るしかないんじゃないの、と呑気に考えていたら、既に風邪では無かったという罠。ということで、皆様には、風邪の後の咳が長引くようなら早めに治療することをおすすめしたい。
 まあ、職業柄、他人にうつる病気じゃなきゃ一応はオッケーなんだな。例えば、結核とかにかかって学生の前でしゃべって感染を広げちゃったなんてのはシャレにならんし、ヘタすりゃ損害賠償モノだけど。

#風邪が長引いた……と思っていたらマイコプラズマ肺炎だった、ってケースもあるらしいです。いずれにしても早めに手当した方がよさげ。

Journlerを使ってみる

Posted on 10月 19th, 2007 in 倉庫 by apj

 昨日せっかく書いたエントリーが消えてしまったので、下書きをローカルに保存するため、Journlerというソフトを試してみることにした。
 ところが、職場のMacの1つでは、Couldn't contact Spell Checkerという警告が延々出て終了することもできなくなった。ネットを探して、/System/Library/Services/AppleSpell.service/Contents/MacOS/AppleSpellを別のマシンからコピーして上書きしてリスタートで動いたという情報があったのでやってみたけど結果は変わらず。結局、起動した直後にPreferencesメニューから、””記号の対応などスペルチェックにひっかかりそうなものを全部Offにすることで対応した。

教育の価値はずっと後にならないとわからない

Posted on 10月 18th, 2007 in 倉庫 by apj

(消失したエントリーを、渋研Xの亀さんが手元のRSSリーダーからサルベージしておくってくださったので再掲。ありがとうございましたm(_ _)m)

 久しぶりに高校の時に親しくしていただいた先生に電話をした。近況報告の後で、高校の時の教育が役立っているという話をした。
 私が通っていた高校(滋賀県立虎姫高等学校)は、私が在学していた頃は、理系文系問わずに可能な限り広く知識を詰め込む方式だった。だから、理系だったにもかかわらず社会科は全科目履修(当時は現代社会、日本史、世界史、地理)したし、理科も4科目のうち物理・化学は全部、生物・地学は全内容の半分程度は履修した(当時は、理科I+理科4科目)。
 で、卒業して20年近くたって、法哲学やら法社会学といった法学基礎という分野の本を読むことになって、社会科フル履修がもろに効いていることがわかった。細かい年号やら人名やらは忘れていても、大体の流れは記憶に残っているわけで……。高校の範囲の思想史やら世界史やらをやってなかったら、ローマ法から続く法の歴史をたどるのはかなり敷居が高かっただろう。
 話をした先生は社会科の先生つまり文系コースを過ごした方だが、やっぱり虎姫高校出身で、カリキュラムには無かった微積分を教わった。入試には役立たないがこういう考え方があることも知っておいた方がいいだろうということで授業が行われたとのことだった。その後使うことは無かったが、別の世界があるということを知ったとおっしゃっていた。
 何でも、虎姫高校には伝統的に「○全」という考え方があったとのことで、とにかく広く教養を叩き込むべきだという一種の思想が共有されていたらしい。何だか旧制高校みたいなイメージだなぁ。
 まあ、在学当時はサボリだったから、社会科は面倒な暗記科目だとしか思っていなかったが、今頃になって、自分の専門外の分野に手出しするときの基礎体力(基礎学力と呼ぶべきかもしれないが、あえて体力といいたい)になっていることを実感してしまった。サボリの私にも有効なんだから、マジメな人だったらもっと有効に違いない。
 
 ゆとりにして科目選択制にして未履修の部分を増やすというのは、生徒をスポイルする結果にしかなっていなないのではないか。ただ単に生徒の将来の可能性を奪い去っているだけではないか。目先の大学入試だけどうにかすればいい、といったことでは教育の価値など測れない。大学に入ったら、一応は共通教育があるが、アラカルト方式でどうしても内容が偏るし、4年間は専門に特化したことを学ぶから、他のことをする余裕はない。その後、専門だけでは手に負えなくなって、何か新しいことを身に付けようとしたときには、高校の教育内容のあたりに戻ることになる。このとき、高校の履修内容が少なくて、中学まで戻らなければならないということになったら、対応するのがかなり難しくなる。
 高校の教育で自由度が広がったことを知るのは、おそらく卒業して10年以上経ってから、つまり社会に出て仕事をして、大学でやったことだけでもまだ足りないということになってからで、そこまでいかないと自分の受けた教育の価値はわからないし評価もできない。

 ということで、虎姫高校には、今後も可能な限り理系文系問わずに広い範囲を教えるようにしてもらいたいし、大学合格率なんかただの途中経過に過ぎないというスタンスでいてもらいたい。平気で未履修をかます高校が増えているのだから、目先の結果にこだわらずに教養を叩き込むことに意味がある、という価値観を維持することそのものの重要性は以前より増していると思う。

【追記】
 ここしばらく、時々サーバが激重になってます。思ったよりもblogのスクリプトの負荷が大きかったらしいし、他にもいろいろ増えたので、サーバ増強を計画中です。当面の対策として、全くつながらなくなるよりはマシということで、定期的にhttpdを上げ直していますが、tb書き込みによるファイル書き換えとぶつかったりすると、たまに中身が消えることもあるようです。

アニメの最遊記が示唆に富んでいると思う件

Posted on 10月 17th, 2007 in 倉庫 by apj

 だいぶ前にTV放映があったアニメ「最遊記」。確か、あの世界観では、「魔術と科学を一緒にすることはタブー」ということになっていたのだが、これがなかなか意味深長ではないかと。
 ガンが治るなどと、科学の領域に踏み込みながら信者を勧誘するような「宗教」が、大抵はカルトで被害者を出していることを考えると、やっぱり実際タブーなんだよなぁ、と思ったりするわけで。
(宗教=魔術、と言いたいわけではないです、念のため。比喩的表現です。)

 むしろ、科学にすり寄ってくる宗教はロクなもんじゃない、という判断基準を立てる方がいいのかもしれない。

 宗教独自の価値判断の体系を立てるにあたって、科学なんかに頼らなければならないというのは、思想的に脆弱であることの証左である。

博士課程に進学する前に読むべき本

Posted on 10月 16th, 2007 in 倉庫 by apj

 『高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場としての大学院」』水月昭道著(光文社新書)978-4-334-03423-8
 大学院重点化後の博士取得者がどういう環境に置かれたかを正面から捉えて議論している本。
 ポスドクまで到達する人を一人育てるのに投入された税金は1億円で、研究者数と研究レベルの確保をするはずが、増えたのは博士号を持ったワーキングプアだった。大学は規模縮小に向かい、旧国研も人員削減、企業側は元々博士号取得者を採用するつもりが無かったという話。結局、18歳人口が減る分の埋め合わせを兼ねて、たまたまバブル崩壊後の不況で就職難になった世代を政策的に大学院に誘導したのだろうと著者は論じている。
 博士卒の失業率は、著者によると医歯薬系を除くと50%程度(分野による差はある)である。博士号取得の後、死亡・不明の者は9.2%、つまり10人に1人は社会との接点無くどこかに消えている。

 所属組織の利害には反することを承知の上で、私は、研究者になりたいという学生には、大学や独立行政法人の研究所に関する限り、当分の間はその見込みがほとんど無いことを正直に告げている。もしどうしても博士課程に行きたいならば止めはしないが、博士2年の春頃から修了見込みで就職活動して中途採用にならないようにフレッシュマンとして企業に就職すべきである。給料の上では、修士と同じ扱いの会社もあったりするが、それでもまともな生活をすることができるだろう。ポスドクは、その先がほとんど無いから、人生を棒に振る覚悟があるか、働かなくても食べていける収入源を確保している人でない限り薦めない。この間も若い人に「若い間は薄給で任期付きで仕事をしながらチャンスを待つという気分でいることができても、その状態では、結婚はまず無理(収入が不安定な上に勤務地が短期で変わる可能性あり)、社会保障からもはじき出される可能性が高いし、数年して同級生に妻子が居てマイホームでも持とうかという状態を横目で見ながら、それでも研究に打ち込む貧乏暮らし人生に自分が満足していられるかをよく考えてから進学を決めるように」と言ったばっかりだったりする。とにかく、博士取得後任期制でないポストを得たのが何割かを見ろ、任期付きになってる人達は全て失業者予備軍とカウントせよ、あと、就職していても人材派遣会社に就職した人は別扱いにすべきで、そうやって出した失業率を見て、それでもあなたはその道を選ぶか?というのが、これから進路を決めていく若い人に真面目に考えて欲しいことである。
 但し、博士前期課程までなら企業もキャリアとして見てくれるので、就職のチャンスを拡げたいという目的があるなら博士前期課程を終えた段階で企業に就職するとよい。うまく従業員を育ててくれる大手に就職してきちんと仕事をすれば、入社数年後に社会人大学院生として博士課程に入り、博士号を取得後また企業の研究開発の現場で働くこともできる。そういう優秀な人を私は何人も知っている……というか博士課程を過ごした研究室に何人もいて、いろいろ助けていただいた。
 既に公務員として働いている卒業生が博士前期進学について相談に来た時は、休職にするか職場の研修の制度を使うなどして、必ずもとの職場に戻れる状態での在学を薦め、その場合は卒業した学科ではなく他の学部を使うことも考えてはどうかとアドバイスした。再チャレンジというのは掛け声だけで(ってか掛け声かけてた張本人が総理を途中で投げ出したという皮肉な状態だが)、実際にはレールを外れると戻ることが著しく困難なので、敢えて負け組転落の可能性が高い道を薦めることはできなかった。相談者の期待には反したかもしれないが……。
 勤めている会社を辞めての博士進学は、本人がいつでも起業できるだけのノウハウと営業能力を持っている場合に限り、やっても大丈夫だろう。そうでないなら博士取得後に苦労するのが目に見えているので、やめておいた方がよい。

 なお、大学教員のうち、大学院重点化前に博士号を取得して就職した人の意見は、博士進学の是非に関することについては考慮するべきではない。その人達が進学した頃と今とでは状況が様変わりしている。昔なら、コネや力のある研究室に入れば、何とか就職先を世話してもらえたかもしれないが、今は人員削減で、人を紹介できる先もほとんどなくなっている。昔は博士課程進学の段階で選別がかかっていたから、ほとんどの人が数年のポスドクの後で常勤のポストを得ることができた(一部の分野でオーバードクターが問題になっていた、それにも関わらず重点化をやった人の正気を疑う)。そんなのどかな頃の感覚で進学を薦められても、それを受け入れたら、今の若い人達には破滅への道が待っているだけである。

 博士号の文化的価値、学問的価値は昔から変わらずにあると思うが、経済的価値とあまりにも乖離してしまっているのが現状なので、手放しに一方の価値だけを重視するのは危険である。

【追記】
 本の中では、工学系はそんなに就職難でもないようなことが出ていたが、実際は工学系も(そしてもちろん理学系も)屍累々である。
 また、講義のある日だけ短時間出勤してくるのが大学教員の勤務実態のようなことが書かれていたが、少なくとも理工系の教員にそんな人は居ない。民間より多少フレックスだが残業の嵐なのは同じだし、年休をじゅうぶん取っている人も見かけないし、代休の取得も定められた期間内に済ませるのは困難だったりする。

カルトと水

Posted on 10月 15th, 2007 in 倉庫 by apj

 Yahoo経由産経新聞の記事より。

宗教法人「紀元会」幹部ら集団暴行に関与か 長野県警が捜索
10月15日9時40分配信 産経新聞

 長野県小諸市荒町のすし店経営、奥野元子さん=当時(63)=がで先月25日、同市の宗教法人「紀元会」の信者に集団で暴行され、死亡した疑いが強まったとして、長野県警は15日朝、傷害致死の疑いで、紀元会の本部などの家宅捜索を開始した。幹部や信者の女性らから事情を聴いており、容疑が固まり次第逮捕する方針。
 奥野さんの死亡当日、夫ら家族4人が犯行を認めて逮捕されているが、その後の捜査で、紀元会の宗教施設内で多数の信者が奥野さんを踏みつけるなどの暴行を加えた疑いが強まった。現場には当時、信者ら数十人がいたとみられ、幹部の指示のもとで行われた集団暴行だったとみて、県警は全容解明を進める。
 事件は先月25日未明に発生。奥野さんが顔面や両腕、両足などに殴るけるの暴行を受け、傷害の疑いで、夫のすし店従業員、奥野和宏容疑者(35)と長女、二女、二女の夫の計4人が同日逮捕されていた。
 紀元会は昭和45年に設立された神道系の宗教団体。「紀元水」という水を飲むと不治の病が治るなどと宣伝していた。

 「霊験あらたかな水」というだけならニセ科学のカテゴリーには入らないが、「水で何かが治る」話とカルトは親和性が高いようで……。そういえばホームオブハートも水を売ってたな。

【追記】
毎日新聞の記事より。

長野・小諸の信者集団暴行:「神様の水」うたう 治癒名目に信者集める

 ◇暴行現場隠ぺいか

 長野県小諸市で15日朝に始まった宗教法人「紀元会」の家宅捜索。本部施設で会合中に同居の家族を含む複数の信者から暴行を受け、奥野元子さん(63)が死亡した疑いが持たれている。教団は“神様の水”による治癒をうたい文句に信者を集めていたというが、県警は傷害致死容疑で教団関係者を逮捕する方針だ。家族による暴行現場の隠ぺい工作の疑いも浮上しており、捜査の行方が注目される。

 関係者によると、教団は群馬県富岡市から運んだとされる水を「紀元水」と称し「不治の病を治す」というふれこみで信者に配り、数万円単位でお布施を募っていた。

 教団本部近くの60代の主婦は「知り合いの信者ががんだったが、病院に行ってはいけない決まりがあるらしく、末期になるまで(教団の配る)水を飲まされたと聞いている」と証言。別の主婦は「施設裏の工場に給水車がやってきて、茶色や白のビンが運び出されているのを見かけた。いつかこういう事件が起こるのではないかと心配していた」と話していた。

 奥野さんも家族ぐるみで信者だった。近所の自営業の男性は奥野さんについて「関西方面から来た人で、教団幹部が連れてきたとも聞いた。しかし、近所づきあいがほとんどなく、よく分からない」と話していた。

 奥野さんは9月25日未明、病院で死亡が確認された。傷害容疑(その後、傷害致死容疑に切り替え)で逮捕された家族は「自宅で暴行した」と話し、家に争った跡もあったが、県警は教団内での事件だったとみており、教団との関係を隠すための偽装だった可能性もあるとみている。

 家宅捜索は午前6時過ぎに開始。車両が到着して捜査員約120人が施設内に入り、敷地外で信者らしき人たちが不安そうに様子を見守った。一方、小諸署には任意同行を求められた教団関係者たちがマイクロバスで到着。うつむき加減で捜査員に署内に入るよう促されていた。

 水で治るといってがん患者を集め、末期になるまで必要な医療も受けさせず、たまに、病死ではなく暴行で殺される、と。救いどころか被害しかもたらしてないがな。

ブックスタンド

Posted on 10月 14th, 2007 in 倉庫 by apj

エレコムのブックスタンドが便利だという情報がMLから流れてきたので、衝動買いした。本やら書類やらを開いたままデータ入力するのに役立つということで、試しに使ってみようかと。amazonへの注文なので、数日したら届くと思う。

半年過ぎると……

Posted on 10月 12th, 2007 in 倉庫 by apj

 科学リテラシー1回目の学生さんのコメントを整理していて気付いたこと。
1回目は、高校でほとんど理科をやってない人へのフォローということで、高校化学の入り口あたりの話をすることにしている。ところが学生さんの方は、筆記試験で化学の問題を解いてきた人も混じっているわけで、そういう人から簡単すぎてつまらないという意見がいくつか出てくる。まあ、一般向けに分類されている講義なので、やる前に説明して、簡単すぎると感じる人には、状況を理解してもらうように努めてはいるのだが……。
 ところが今回は「なつかしかった」「だいぶわすれていた」といったものが殆どだった。大学入試から半年経つと、だいぶ記憶が薄れるのかもしれない。

弁護士(=代理人)多すぎ

Posted on 10月 11th, 2007 in 倉庫 by apj

モトケンさんのところで書き込んでたら、やたら人数の多い弁護団の話になったので、こちらにメモしておく。弁護士数百人という弁護団の実例は?という私の疑問に対し、惰眠さんが最近の例として山本弁護士のケースがある、と回答してくださった。それを受けて私の投稿。

No.380 apj さんのコメント | 2007年10月11日 20:57 | CID 88988  (Top)
No.379 惰眠 さん
 情報ありがとうございます。
http://www.mainichi.co.jp/universalon/narration/prt/10rtm137-400.html
によると「300人を超す弁護団が結成され、別に400人以上の弁護士が支援します。」とありますね。もはや「刑事弁護」ではなくて「ギネスに挑戦」の世界が展開している気がします。
 まあ、アピールしたところで、提出する書面の枚数が弁護士一人の時の300倍になるわけじゃないだろうし、法廷には代表の何人かしか来ないだろうし、あとは傍聴席が弁護士で埋め尽くされる可能性があるってことくらいでしょうか。裁判所にとっても特に迷惑ということにもなりそうにない。
 300人で弁論の書類を作る方が大変そうです。忙しい弁護士が顔を合わせるのはまず無理でしょうし、MLでやるとしても果たしてまとまるのかと……。300人というとウチの大学の一番大きい階段教室の収容人数ですぜ。出欠確認だけでも一仕事、打ち合わせは不可能だろうなぁ。

 これに対して、法務業の末席さんからのレス。

No.383 法務業の末席 さんのコメント | 2007年10月11日 21:40 | CID 88998  (Top)
>No.380 apjさま

横レスですが、ご容赦。

大弁護団ということなら、過去に甲山事件の差戻し控訴審で239名、しかも複数の日弁連の会長経験者や、名の知れた大物弁護士がズラリと勢揃い、という一種の「全日本選抜大弁護団」が結成された事例があります。

<以下参考までに>

ちなみにこの甲山事件の裁判、最高裁での無罪確定まで25年余りかかった殺人事件の裁判としては日本最長記録です。また、被告人は当初は不起訴でしたが、被害者遺族の申立で検察審査会が起訴相当の議決をしたため再捜査の上で起訴され、1審で無罪→2審差戻し判決→最高裁で差戻し支持→差戻し1審で再度無罪→2度目の2審で再々度無罪→検察が最高裁への上告断念と非常に複雑な経緯をたどりました。
また平行して事件を題材にした事実小説での名誉毀損の民事訴訟で被告が勝訴するなど、日本の刑事裁判史に残る事件です。

この異例ずくめの裁判の経緯の裏には、被害者遺族の強い処罰感情と、被告人に対する厳しいマスコミの報道姿勢、更には無理な捜査と起訴をした検察の意地とメンツが複雑に絡み合っていました。この点、今回の光市事件にも共通する部分があると思います。

ちなみに、この甲山事件で被告人を取調べて自白調書を作成した検事は、その後退官して今枝弁護士と同じ広島弁護士会にて弁護士登録をしましたが、弁護士となってから当時の取調べと起訴にはかなり問題があったことを自ら総括して論文を書いています。

<冤罪甲山事件のHP>
http://www.jca.apc.org/kabutoq/

<私説・甲山事件…真犯人は今いずこ…初動捜査に関与した一検事の感慨>
http://homepage3.nifty.com/akilaw/pdf/kabutoyama.PDF

 何だか、冗談抜きで弁護士がギネスに挑戦したがってるようにしか見えないのだけど。
 しかし、弁護士というとウルサ型の代表みたいな人達のうえに超多忙ときているわけで、二百数十人の弁護士が(技術的な意味で)どうやって意思の統一を実現したのかが気になる。今ならMLやら掲示板やらである程度楽にできるだろうけど、ネット普及前なんかどうするのかと。参議院の議員数とcomparableだぞ。共和制ローマの元老院も似たような数だったかと。

【追記】
関わってくる弁護士がやたら多い訴訟は?という意味で書いたので、民事の訴訟代理人と刑事の弁護人の区別が曖昧になっています。また、行政訴訟も入れてと考えていました。いずれにしても、弁護団が登場するような訴訟で、一体ギネス級は何人なのかというあたりが関心事なのです。