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就職活動の際の注意点に紛争の形態と件数を

Posted on 3月 13th, 2006 in 倉庫 by apj

 「訴訟を乱発するクリスタルグループ」より。

クリスタルグループと言えば、本紙でも既報の人材派遣業大手。
 このグループ企業に関し、近年、ようやくいくつかの大手マスコミが問題提起しているが、クルスタル側はことごとくといっていいほど、記事で信用を傷つけられたとして、それも億を超える高額訴訟を提起している模様だ。
『毎日新聞』、『週刊東洋経済』、『週刊ダイヤモンド』、『日刊ゲンダイ』などで、なかでも『日刊ゲンダイ』に到っては同社のことを数行記しただけで、資金の豊富さを背景に、ともかく同社にとってマイナス面を書かれたら軒並み提訴する方針のようだ。
 その姿勢は、かつての消費者金融大手「武富士」を彷彿させ、事実無根だからというより、提訴することで追加報道を、また、他のマスコミでの報道を自主規制させる狙いがあるように思える。
 もっとも、かつて武富士が『毎日新聞』への提訴は直後に取り下げたことがあったように、クリスタルグループも、『赤旗』に関しては提訴していない。一番熱心に報道している『赤旗』だが、さすがに共産党機関紙をまともに敵に回すのはマズイとの判断か。だが、そうだとすれば、なおさら紙面の内容ではなく、提訴を“言論抑圧”手段に悪用しているといえ、それは道義的にも許されるものではないだろう。
 マスコミ側は、かつての武富士訴訟の際のように共闘したり、反訴することも検討してもいいのではないか。

 大学では新4年生の研究室配属も決まり、その4年生達は就職活動をどうするかという時期に来ている。履歴書の書き方やら自己アピールの仕方といった、就職活動の王道はいくらでも本が出てるしネットからも情報がとれるから、私が何か言う必要はない。
 ただ、例年チェックポイントとして指摘しているのが「従業員の定着率」で、大量採用して大量退職してるような企業は何か問題があるから避けるか、単なるキャリアアップの道具だと割り切って就職するかしないと危ないよ、といった話をしている。ただ、この記事を読んで、案外「紛争は企業の真の姿を映し出す」のかもしれないと思った。
 私の立場は、以前から、「法的紛争は近代社会における個人の自立の証」というもので、紛争に対してはポジティブな評価をしている。ただ、同業他社に比べてあまりにも訴訟の件数が多いとか、ちょっとした批判記事で訴えまくるといったことをしているのであれば、そういう体質の会社に就職した場合の従業員への締め付けやら搾取やらは推して知るべしということになるのではないか。
 私は大学教員で、学生を社会、主に企業に送り出す立場である。送り出した学生がおかしな企業の食い物にされては困るわけで、学生へのアドバイスは、どうすればブラックな企業を踏まずに済むかという視点からのものとなる。民事訴訟は基本的に誰が当事者かは公開されるわけだから、この情報をうまく活用できないものか。今のところ、紛争リストが欲しければ裁判所に行くしかないし、特定の企業が当事者となった法的紛争を手軽に全部洗い出すといったことはできないのだが、口頭弁論が始まったものに対する情報公開がもっと進めば、誰でも手軽に利用できるようになるのではないか。