Feed

お祈りって(汗)

Posted on 7月 11th, 2006 in 倉庫 by apj

 午後から学生実験だったのだが、始まった直後に、ガラス細工が当たってた学生の一人が、、ガラス管を折りそこねて右手親指を切ってしまった。とりあえず止血して保健管理センターに連れて行った。で、「テスト大丈夫?」(指をケガしてる状態で試験があると答案を書くのが大変だから)とか話をしていたら、学生が「そういや最近も包丁で指切った」なんて言うから、「あんまりケガばっかりするようなら、いっぺんお祓いにでも行ってくるといいかもねぇ~」と半分冗談で言ってたんだけど……。まあ、学生のケガは保健管理センターで薬をつけて包帯を巻いてもらうだけで大丈夫な軽いもので、良かったんだけど……。

 神頼み記事が出てやがりました。シャレになってない。

国立天文台教授が科研費で「神頼み」、お札購入に流用

 太陽観測の権威として知られる国立天文台(東京都三鷹市)の男性教授(51)が、1998年から4年間に文部科学省から受けた科学研究費補助金(科研費)のうち、研究を手伝う大学院生に支払う「謝金」と報告していた計185万円を不正流用していたことが10日、わかった。

 教授はこの補助金を、今年9月に打ち上げられる予定の太陽観測衛星での実験成功を祈る祈願料などに充てていた。今月7日、同天文台から流用の中間報告を受けた文部科学省は、「神頼みなどに科研費は使えない」として、今後、返還請求や教授の処分を検討する。

 教授に対する科研費は、太陽観測衛星「ソーラーB」に搭載する望遠鏡の開発のため、4年間に支給された3440万円のうち、185万円は、研究を手伝った大学院生の日当として払う「謝金」として報告していた。
(読売新聞) – 7月11日3時7分更新

 国やら地方自治体が玉串料だしたり地鎮祭やったりすると、政教分離を謳った憲法違反ではないかという理由で、最高裁まで争うことになったりするわけだけど……。この記事を読むと、憲法判断云々よりも先に情けなさだけが漂ってくるのはナゼだ?

サイエンスセミナー

Posted on 7月 10th, 2006 in 倉庫 by apj

 学内企画のサイエンスセミナーで話をする予定。テーマは「ニセ科学と科学リテラシー」。物理学会でやった内容と結構かぶりそう。今からスライドを準備する。
 このセミナーはオムニバス型式で毎回いろんな人が話をするので、ひきうけた時間内に小テストをして単位認定するのだが、課題に何をしてもらおうかと考えている。健康雑誌のコピーでも使って、「科学への信頼を利用していると思われる表現に線を引き、判定基準(健康情報を評価するフローチャート、など)に照らしてどの段階であるか判断せよ」とかやってみるかな。日常生活密着で変な話に入り込まれることのチェックの練習にはいいかもしれない。
 この間生協で「壮快」をちらっと立ち読みしながら、フローチャートを適用したら、信じて良い情報がただの一つもないという結論になりそうだった。金取って一冊丸ごと煽りかよ、って勢いだった……orz。引用文献無し、「言われてます」「わかってます」のオンパレードじゃ、信頼できる情報にたどり着くのが困難な罠。

 ところであれこれ考えていたら遠くでヒグラシが鳴いている。ドッカの研究室の電話の着信音に設定されてる、なんてオチじゃなきゃ本物だと思うが、梅雨明け前のはずだがもうそんな季節かい……。

商売熱心?な古本屋

Posted on 7月 9th, 2006 in 倉庫 by apj

 amazon.comのマーケットプレイスで、海外の古本屋が出品している専門書を買ったのだが、今日そこからメールが届いた。内容は「買って半年経つけどウチにまたその本売りませんか?」。そういうシステムを作って自動送信してるんだろうけと、何だか細やかな営業だと思っておかしかった。確かに古本屋は古本を流通させてナンボだし、古本で手に入る専門書でも結構綺麗だということは、買ったけど使われないままになっているものが世の中には結構多いのかもしれない。
 積ん読しとくのもたしなみのうち(笑)と思うか、さっさと売り払えと思うかは、まあ趣味の問題ではあるけども。

 ブックオフだと、本を買うと「売りませんか」チラシを入れてくれるし、amzonだと、「これまでにウチで買った本を売ると合計いくら」って値段まで出るわかりやすさだが……。ダイレクトメールでこの種類の営業をされたのは初めてだったので、何だか新鮮だった。

#結局どうするかって?既に蔵書印押して線なんかひいちゃったりしてるから、ちょっと売れないなあ……。自分で使ってるところだし。

文献整理

Posted on 7月 7th, 2006 in 倉庫 by apj

 引用文献の整理を、大学院生の頃からEndNoteでやっていた。ずっとユーザーできたのだが、MedLineなどのオンライン検索機能が充実したかわりに、私が普段使ってた機能である「Exportフィルタをユーザーが定義できる」「plain textファイルをフォーマットできる」機能が削られて、ほとんど使えなくなってしまった。
投稿論文:TeXで書いて、文献はEndNoteのcitationの記号で埋め込む→スタイル定義は雑誌に合う形になるものをTeXで出すように作っておく→EndNoteでフォーマット→TeXでコンパイルして完成
その他:TeXで書いてBibTeXを使うようにしておく→EndNoteのデータをBibTeX形式でExPort→TeX、JBibTeXで処理→完成
この両方が手軽にできるといいのだが……。TeX&BibTeXでもワープロでもそれなりに使いたいし……。それなら自分で処理できる自由度の高いものでいくか、とEndNoteは7までにして、FileMakerを使い始めたのだが、やっぱりちょっと敷居が高い。ということで、BookEndsを試してみることにした。
 CSVかBiBTeXのinport/exportができれば、ソフトウェアを変えた時のデータ移行は心配しなくてもいいし。

押し売り注意報

Posted on 7月 6th, 2006 in 倉庫 by apj

 本日、事務から教職員に流されたメール。教員だけでなく、学生や学外の人にも知ってもらった方がいいのでここに貼っておく。

■消火器訪問販売に注意!
山形警察署から,管内で消火器の訪問販売による押売り被害が発生したため,注意するよう喚起するお知らせがありました。「フジ・テック」を名乗り消火器の訪問販売を行うもので,そのやり口はあらかじめ電話でアポを取り,すぐに訪問し,契約を交わして法外な金額を請求するものです。
「フジテック」という会社は実在しますが,この会社は,エレベータ、エスカレータ、立体駐車設備などの製造、販売、据付、メンテナンスに関する事業を営む会社で,消火器の販売は一切行っておりません。
 訪れる者は,だいぶ口がうまいようです。くれぐれも被害に遇われませんようご注意ください。ご家族の方にもお知らせいただければ,と思います。

 学生さんでここを見てる人も居ると思うので、友達にこのことを伝えてあげるといいだろう。ドッカから悪徳商法で鍛えた営業マンでもやってきたかな。真面目な商売をしているメンテナンス会社のフジテックが激怒しそうではある。

敵と戦うためには正直であるべきだ

Posted on 7月 4th, 2006 in 倉庫 by apj

 早稲田の不正経理&データ捏造をネタにしていたら、ウチでも発覚した模様

山形大医学部の医師が論文捏造 「教授に指示された」
2006年07月03日20時38分

 山形大学医学部(山形市)の麻酔科の医師が学会誌に発表した論文で、一部データを捏造(ねつぞう)していたことが3日、分かった。論文の筆頭執筆者の20代の女性医師は、学部内の調査委員会の聴取に対しデータの捏造を認めたうえで、「当時の麻酔科の指導教授から指示された」と話している。

 論文は婦人科の悪性腫瘍(しゅよう)手術をした82人の患者のうち、大動脈周辺のリンパ節を切除した人の方が、しなかった人よりも、「血清アミラーゼ」の値が高くなり、膵臓(すいぞう)に障害が出る可能性があることを示した。

 論文は「婦人科手術における傍大動脈(ぼうだいどうみゃく)リンパ節郭清が膵(すい)機能に与える影響」。女性医師が大学の医局で医員だった04年に執筆。指導教授ら医局員5人も共同執筆者として名を連ね、05年4月に日本麻酔科学会の準機関誌「麻酔」に掲載された。

 データはいずれも患者のカルテから集めたが、術前のデータが全員分そろわなかったため、一部、正常値に近い値を入れてうめたという。女性医師は「指導教授にデータがないことを相談すると、『正常値を使っておくように』と指示された」と話している。

 同大は学部長ら7人でつくる調査委員会で、事実関係を調べる。

 捏造が倫理的にまずいということは明らかだが、そのことを繰り返し論じても何の抑止力にもならなさそうなので、別の観点から考えてみる。
 すると、ズルをすることによって生じるコストに関する意識が抜けているのではないか?ということに気づく。
 一瞬だけズルをすること、これは誰にでも簡単にできる。ところが、ゴマカシ通すことは難しい。自分一人だけでやって発表する研究なら、ズルをしても滅多にバレることはないだろうし、追究されても過失だと言い張ってごまかせるかもしれないが、学生や院生や共同研究者とやってるときにズルをすると、バレる可能性がかなり高くなる。で、バレたら研究者としては致命傷になるから、リスクは相当に大きい。
 人間、利益が一致している間は裏切らないものである。誰かを巻き込んでズルをしたら、そいつとは将来にわたって絶対に敵対できなくなる。それどころか、味方にしておくだけのエサを与え続ける必要がある。これは相当に神経を使うしコストもかかる。特定の誰かを味方につけたままキープしなければならないという拘束条件は、将来、どこでどういう足かせになるかわかったものではない。敵の多い商売をやっていて、場合によっては手段を選ばず相手を攻撃しなければならないということに気づけば、正直である方が結局コストが安いという結論が出るはずだ。
 報道から見る限り、松本教授のところでは、大勢の部下(院生、ポスドクなど)を抱えた状態で、下が不満を持つような研究室運営をしつつ、不正を同時にやっていたということである。これでは、足を掬ってくれと言っているようなものである。不正行為をやったことが知られているときに、不満分子を抱え込むと、次に何が起きるかは誰にでもわかるだろう。

 私だって、過去に博士論文のテーマ変えで揉めた時、もし教授が最後までテーマ変更を認めなかったら、最後は、教授の研究費目的外利用を公表するぞというカードを切るつもりでいた。指導教員の「弱み」は自分の身を守る手段になり得るというのが、大学院の経験で学んだことである。(だから、内部告発があったとき、告発するよりは教授に圧力をかけて交渉した方が利益を得られたのではないかと思っていた)

 データの捏造をやるというのは、臨戦態勢にあるという自覚が抜けているとしか思えない。

 どうも、正直で誠実であれと説得するためには、「内部と外部に敵がいる」というモデルが効果的なのではないかと思う。道徳ではなく功利的に動けということである。

 これをさらに進めると、次は、「データ捏造の濡れ衣を着せられたときに裁判所で証明できるだけの証拠能力のあるノート・ログの残し方」を追究することになる。

 まあ、もうちょっと倫理や道徳をつかって穏やかにいけるならその方がいいんだけど、それが有効でないとするなら、こういう考え方をしてもいいのではないか。

逆ポーランド

Posted on 7月 3rd, 2006 in 倉庫 by apj

 先日slashdot.jpでもスレが立ってて、そこで紹介されていたので「カッコのない国」と言う子ども向け解説書を買ってみた。逆ポーランドの丁寧な解説書である。
 普段は、HP-28Sを愛用している。32SIIは予備機として持っている。ちょっと前に、師匠に頼まれて、e-bayで15Cを即買いした。
 RPN電卓は使ってる人が少ないので、そのへんに置いておいても誰かに持って行って使われることがほとんどないというところだったりして。そういえば、昔、HPのワークステーション付属のxcalcを実行したらhpcalcで、RPN電卓が出たのを覚えている。もっと前のTitanの計算機は、オプションを付けて実行すると電卓の代わりに計算尺がウィンドウに表示されて、マウスでドラッグして使えた、というかそれじゃ使えないというか何というか……。

カエサル

Posted on 7月 2nd, 2006 in 倉庫 by apj

 マックス・ガロの「カエサル!」(上)(下)を買ってきて読んだのだが……。歴史活劇だと帯に書いてあるからどういうノリかと思ったら、ちょっと別方面にウケそうな内容だった。カエサルが男女問わず色恋沙汰にふけっている……と見せかけて有力者をあざむきつつ、ある時にはとりいりつつ、権力を握るという話だった。塩野七海の「ローマ人の物語」のカエサルの巻の方が、活劇に見える。
 ローマ人ネタは、期待と違うものを読んでしまうことが時々ある。一番衝撃的だったのは、高校の時、「カリギュラ」だといって友人が文庫本くれたので、普通に読み始めたら思いっきりポルノだったことか。私は、同タイトルのアルベール・カミュの作品を想像していたから、あまりの落差に目眩がした。

お茶出しって……?

Posted on 7月 1st, 2006 in 倉庫 by apj

地元の話題なので貼っておく。

今更?女性のお茶出し見直し 山形県、共同参画実践運動

 ようやく、それとも今更? 山形県は7月から、「男女共同参画実践運動」と銘打ち、女性による「お茶出し」などの職場慣行の見直しを始める。男女雇用機会均等法の制定で、お茶出しが論議の的になって20年余り。背景には県財政が厳しさを増す中、主にお茶出しを担ってきた「日々雇用職員」が削減され、業務効率面からも見直しが迫られている庁内事情もありそうだ。

 県は2005年度、13人の中堅職員を集め、「男女共同参画モデル職場づくり研究会」を発足させた。依然、慣習として残る女性職員によるお茶出しをはじめ、職場慣行の問題点を議論、意識改革や女性職員の職域拡大などを提言した。

 これに基づき、県は7月から来年3月まで(1)職員や会議へのお茶出しの見直し(2)女性に偏った日々雇用職員の採用見直し(3)意識啓発―などの項目を掲げ、具体的に取り組む。男女共同参画についての研修も始めた。

 知事部局、企業局、病院事業局、県教委の全職場が対象。お茶出しの廃止など慣行見直しを重点的に取り組む職場は「モデル職場」を宣言する。県議会は対象外とした。

 県は09年度までに、04年度比で505人(10.2%)の職員削減を計画している。これとは別に、各部局は民間企業では臨時職員に相当する日々雇用職員を事業費で採用しているが、予算枠の縮小に伴い、こちらも減少を続けている。05年度の知事部局の採用数は約300人で、5年間で約140人減った。

 日々雇用職員の庁内での役割も、いや応なしに「周辺業務」から「中心業務」へと比重が移っており、職場慣行の見直しは不可避となっていた。

 運動の旗振り役の県女性青少年政策室は「本年度の状況を見て来年度、お茶出しなどの慣行が全廃できるかどうか、検討したい」と話している。

<温存にびっくり/県職員研修会で講師を務めた河野銀子・山形大助教授(社会学)の話>
 お茶出しが温存されていたのにびっくりし、男女共同参画関連の法令を知らない県職員が多いことにも驚いた。女性職員がこれまで以上に仕事をするのはいいが、家事分担がこれまで通りだと女性の負担が大きくなるだけ。真の男女共同参画のためには、性差を問わず、個人の生活と仕事のバランスについて職場全体で考える必要がある。
(河北新報) – 7月1日7時4分更新

 コメントしているのがウチの大学の先生なわけだが……。男女共同参画を推し進めるなら、男性も女性も同じようにお茶出しをするというのが正しい解なのでは。経費節減を目指すなら、お茶出しは性別を問わずに廃止してティーサーバーを置けと。
 ちなみにウチの研究室は、ゼミの時、私が学生の人数分のコーヒーとお茶を用意している。これは、学生を私のオフィスに集めてテーブルを囲んでやっているという状態で、しかもゼミは長引くことが多いので。だから、ディスポーザブルのカップが必需品。
 ただなあ、職場のお茶出しってある意味危険だと思うぞ。誰がどういう妄想や恨みを抱いているかわからないわけで、お茶缶やポットに一服盛られたらそれでアウトなわけだが。よく今までお茶出しを温存してたな。女性差別云々ではなく、むしろ危機管理がなってないことが問題なんじゃないか。